旧暦にあわせて行われる、沖縄・糸満の伝統行事「糸満ハーレー」が、6月9日、盛大に開催された。「動物虐待ではないか」との議論を呼んだ「アヒル取り競争」も例年通り実施された。予想外のかたちで注目されることになった今年の「糸満ハーレー」を振り返る。

「神事に始まり神事に終わる」糸満ハーレー

海人のまち、糸満は、旧暦の伝統行事を重んじ、糸満ハーレーは「神事に始まり、神事に終わる」と言われる。旧暦5月4日の朝、拝所の山巓毛(さんてぃんもー)には、神に祈りを捧げる「ノロ」と、ハーレーに参加する地域の代表者たちが集まり御願(うがん)をする。

御願が済むと、山巓毛からの旗の合図で、ハーレー行事がスタート。幕開けを飾る「御願バーレー」は、糸満の古い3つの集落を代表する漕ぎ手たち(ハーレーシンカ、と呼ばれる)が速さを競う、船漕ぎ行事だ。


競技を終えた漕ぎ手たちは、糸満の氏神様「白銀堂」を詣で、勝利を報告し、今年の航海安全、豊漁などを祈願する。

▽御願ハーレーの勝利報告をする青年
「神事があって生活ができているし、仕事も、漁業もできていると思っているので、その報告と感謝の気持ちを伝えに来ることは大事だなと思いました」

海人の生活と信仰に深いつながりをもっている糸満ハーレー。行事の中心を担うのが、糸満独特の競技。

そのうちの1つ「クンヌカセー」は、レースの途中で、わざと船を転覆させる。