バス運転手確保にあの手この手 スカウト・二刀流・革命的な案も
加藤キャスター:
ドライバー不足は深刻な問題ですが、全国で様々な対策が行われています。

青森・弘前市では、4月に自衛隊と公共交通の人材確保に向けた連携協定を締結しました。
大型二種免許などを持つ退職予定の自衛隊員の運転体験会などのインターンシップを実施しました。
インターンシップに参加した弘南バスは、入社支度金30万円・勤続年数に応じた手当などの待遇を検討しています。担当者は「精神的な強さや使命感、交通事業者にとっては大切な人材」としています。

高速バス「WILLER EXPRESS」は、4月からバス運転手の名称を、“ハイウェイパイロット”に変更しました。「キツい」「長時間労働」といったイメージを一新し、「憧れの職業」「かっこいい」存在を目指すということです。安全・接客を両立したワンランク上の運転手の育成を目指していくということです。
東京大学准教授 斎藤幸平さん:
観念論的ですね。実態を変えていってほしいですが、まずは第一歩かもしれません。

加藤キャスター:
岡山「両備グループ」は働き方に注目しました。
バスの運転手は便数の多い朝と夕方が忙しく、昼間は空き時間になることもあったそうです。昼間の時間にトラック運転手として働くことで、働きが給与に反映されるという“二刀流”という働き方を可能にするということです。
バス・トラック・鉄道・タクシー・フェリーとグループ会社があるため、希望する会社に移籍することを可能にし、それぞれに合った働き方を実現させていくという考え方もあるそうです。
様々な支援も行うことで、ライフスタイルに合った“運転手”を選べる制度を目指していくということです。

修学旅行などでバスガイドの需要が多い奈良県の「奈良交通」では、5月9日から“リモートバスガイド”が本格稼働しています。
同じ学校の修学旅行で同じ場所を通る複数のバスに向けて、ガイド1人が“リモート”で同時に案内するというものです。5月31日までに14校58台で利用されているということです。

北海道の石狩市は去年11月、石狩市内と札幌市内を結ぶ全長12キロ〜15キロの“都市型ロープウエー構想”という“革命的なアイデア”を打ち出しました。2032年度の完成を目指しています。2本のロープを自走式のゴンドラが走るということです。
石狩市担当者は「空中を走るので、雪や交通渋滞などの影響を受けにくい」としています。
山内あゆキャスター:
自走式ということは1台1台に運転手は必要ないということですね。

東京大学准教授 斎藤幸平さん:
走るルートが決まっているので自動運転よりもレベルが低く実現が可能です。線路を敷いたりするよりコストが比較的安く済むため、悪くないアイデアかなと思います。
技術も必要ですが、横浜市はお金があるはずですので、市バスは何とかしてほしいなと思います。
加藤キャスター:
横浜市の今回の対策は、日々の日当の上にボーナスとして5万円が加算されるということです。
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<プロフィール>
斎藤幸平さん
東京大学 准教授 専門は経済思想・社会思想
著書『人新世の「資本論」』50万部突破