繰り返される事故 廃止進まぬワケ

「第4種踏切」では事故が繰り返されてきました。埼玉県行田市では2013年、小学5年生の男の子がはねられ、死亡する事故が。佐賀県小城市でも2018年、乗用車が列車と衝突し、運転していた20代の女性が亡くなりました。

「第4種踏切」は2007年には全国に3528か所ありましたが、現在は2408か所と、年々減りつつあります。

しかし、2022年度の1年間には16件の事故があり、6人が亡くなっています。
相次ぐ事故を受けて、国土交通省は「第4種踏切」の廃止や遮断機のある踏切に切り替えるよう鉄道会社に求めていますが、改修には1か所で1500万円以上かかるとされ、費用面の課題があります。
取材を進めると、切り替えが進まない理由は、さらに…

茨城県を走る「関東鉄道」。管内にある195か所の踏切のうち37か所が「第4種踏切」です。

関東鉄道 施設課 稲葉幸雄課長
「第4種踏切がある限りは(高崎でのような)事故は絶対にないとは言えない。そういう危機感を持って全廃の計画を立てている」
「第4種踏切」をなくすため、自治体などと協議を進めていますが…

関東鉄道 施設課 稲葉幸雄課長
「地域住民の方々から『踏切がなくなると遠回りをしないといけない』とか。今まで何もなかった静かなところに『警報のカンカンという音がすごく耳障り』とか。地域の皆様になかなかご納得いただけない」
そこで、この鉄道会社が試験的に導入したのが…

関東鉄道 施設課 稲葉幸雄課長
「こちらが簡易遮断機を設置した踏切です。元々は第4種踏切で、何もないところに簡易的な遮断機を設置して」
踏切に手で押し引きをするバーを設置し、安全性を高める対策を施したのです。

関東鉄道 施設課 稲葉幸雄課長
「運転手からのヒヤリハットやブレーキをかけたなどの報告が年間5、6回はあったが、(簡易遮断機を設置して)5か月間で1回だけ」
費用は大幅に抑えられますが、全廃に向けた一時的な対処です。
専門家は「鉄道会社への資金援助などが必要」としたうえで…

工学院大学 高木亮教授
「沿線に住んでいる方と鉄道事業者、自治体、国、その合意形成に問題がある。地元の方々が自分事として交渉に参加する。鉄道の危険性を過小評価しがちだと思うので、認識を共有しておくことが重要」