日銀の政策変更をどう受け止めていくか

──今の状況だと、金融政策の転換点に立って、短期プライムレートがいよいよ動き出すなというところだと思うのですが、いかがでしょうか。

そうですね。次のステージは、短期プライムレートが動くような日銀の政策の変更っていうのがあるのかどうか、それがいつなのかということ。

これは当然、世界経済だとか、国内だけの状況でも当然ないですし、色々なものを総合的に勘案されながら、お決めになるんだと思います。けれども、その瞬間は少しずつですけど近づいてきているかなという気もします

──その瞬間が近づいてきてるっていうところで、短期プライムレートにってなったときに何が一番大きく変わる、会社としても変わらなきゃいけない、これやらなければいけないなというものは何か。

我々のその貸出金の構造を見ますと、住宅ローンは97〜98%が変動金利ですので、ここは元々短期プライムレートに連動してる。だから、今はまだ全然動いてないものですね。新規実行もそうですし、ストックのところも全く動いてない状況にありますので、ここに金利がついてくる。

それから、法人向けでも当然短期プライムレートをベースとした貸出金というのはそれなりに残っているっていうことで、ここに金利の変化が起きてくるっていうことについては、我々の全体の収益力っていうものを高めていくっていうことに繋がっていくと思いますので、ここは大きく変わってくるところなんです。

けれども、我々、この金利の上昇っていうのを追い風にするんですけども、ただ今やらなければいけないことっていうのは、やはり次世代に向けてもう1回、自分たちの構造改革を推し進めることが重要だと思っています。

やはり、これまでのビジネスを支えてきた発想だとか、仕組みとか仕掛け、それから業務のプロセス、システムこういったものが、時代の変化とともにミスマッチを起こしているというふうに思っていますので、次世代のリテール金融を支える新しい基盤というか、新しい経営基盤に変えていかなければいけない。

そのために、人材への投資、IT投資、それからデータの利活用、こういったところが重要だと思っていますので、「短期的には金利が上がることで少しフォローの風、一方で構造改革は待ったなし」というのが今の多分我々の状況だと思います。これをこのタイミングで同時に達成することが大事なところだと思います。

今後、会社が生き残っていくために

──今、次世代の投資の部分で、力を入れてるのが人材だったり、デジタルであったり、そこが今後の会社のために大きな部分ですか。

大きいですね。人材、それからIT投資なんですけども、これってやはり支えている我々の業務のプロセスというのをもう1回、解体再構築をしないと。

どうしてもこれまでトレーニングされた方々の人海戦術でバックヤードを支えている状況っていうのが長らく続いていて、やはり日本の人口構成、少子高齢化を見てもそうですし、それから今のDXの流れ、それから今後起きてくるであろうお客様の金融行動の変化というものを支えるために今の形ではなくて。

今までは今までの流れで支えてきたんですけど、ここを起点に次世代化をしていくっていうことが我々が持続的に成長していくっていうためにも必要ですし、それからお客様の顧客体験を変えたり、お客様に新しい価値を提供していくその土台となるものをもう1回再構築するっていうことが、どうしても避けて通れないところだと思っています。それが実は今のタイミングだと思っていまして。

テクノロジーが進化をしたこともそうですし、お客様の金融行動が変わったっていうこともそうですし、それから社会産業構造そのものがもう変わってきてるっていうことだと思います。これに適用できるかどうか、我々がいち早くそこに変化を見出せるかどうかっていうことが我々が本当にリテールNo.1になれるかどうかっていうところの分水嶺だと思って。