同点に追いつかれた智弁和歌山…大型右腕・中西投手の投入で勝負に出る

 思わぬ形で同点に追いつかれた智弁和歌山。8回からは、和歌山県大会の決勝で完投勝利を収めた身長197cmの3年生、大型右腕の中西琉輝矢投手を投入。勝ち越しを狙って勝負に出ます。一方の京都国際は西村投手が続投。西村投手は期待に応えて、8回と9回、緩急をうまく使ったピッチングで強打の智弁和歌山を抑えます。

 中西投手の力強い投球の前になかなかヒットを放つことができない京都国際。それでも9回、1アウトから長谷川選手が粘ってフォアボールで出塁します。この後、奥井選手がきっちりと送りバンドを決めて2アウト2塁。タイムリーが出ればサヨナラの場面をつくります。続くバッターは、投手の西村選手。選抜大会でも活躍し準決勝でも好投したエースの中崎琉生投手が控えているだけに代打も考えられる場面でしたが、小牧憲継監督の選択は「西村は野手出身。中西君のボールでも速球ならなんとか当てることができる。タイブレークになる10回の打順が9番から始まることも考えて、そのまま打席に立たせた」と、西村投手をそのまま打席に送り込みます。

 この選択が、智弁バッテリーにプレッシャーをかけました。打席の中の反応で、速球は対応してくると判断した智弁バッテリー。2ボール2ストライクと追い込んでから、決め球のフォークで三振を狙いにいきます。しかし、このボールがワンバウンドとなってワイルドピッチ。3塁までランナーを進めてしまいます。さらに、続く6球目。ランナーがサードにいるだけにストレートが予想される場面でしたが、中西投手が投げ込んだのはまたしてもフォーク。「バットに当てられると何があるかわからないので、一番(空振りの)確率の高いボールを選んだ」と振り返ったボールが、鋭く落ちすぎてしまいました。今度もキャッチャーが押さえることができず、ワイルドピッチとなってサードランナーがホームイン。近畿大会の決勝戦はまさかの幕切れで、京都国際が智弁和歌山に3対2でサヨナラ勝ちを収めました。