スズキさんがこだわる花の「見せ方」。「かわいい」だけではない魅力も

瀬戸さんにもレクチャーしたドライフラワーのアレンジメント。スズキさんが伝授する基礎やコツには、花の「見せ方」という視点が欠かせない。

「生のお花からそのままの形で乾かすというより、まずきれいに乾かしたものを束ねていく方が、長く美しく楽しんでもらえると思います。期間が短い生花とは違い、長く飾ることを考えます。例えば壁に飾るのであれば、壁側が作品の『背中』になるので、(表側で)お花がよく見えるように、顔を全部こちら側に向けるように生ける。ぶら下げるにしても角度などに気をつけると、すごくかわいく見せられると思います。葉っぱだけにしてもかっこいいです」

重ね方にも、生花とは別のコツがある。

「普通の生花の花束だと、上から見たときにラウンドブーケと言って、全面からお花がパーッと見えるように束ねるのですが、ドライフラワーのスワッグの場合は、下に向かってお花をちょっとずつずらしていって段差を作ってあげるんです」

花の向きや重ね方などの「見せ方」だけでなく、長く付き合っていく上で、「何の目的で、何のために作っているか」という点も、スズキさんが常に意識していることだ。

「例えば今回のドラマでも、どういう風に見えるか、細かいカメラワークまでは分からないのですが、そこに適しているのはどのようなものかを考えます。大きなものなのか、こぢんまりとした方がいいのかとか、そういうことも含めていつも考えています。また、時間の経過とともにアンティークカラーになっていくように楽しんでいただけたらいいなと思って作っています」

劇中で男性の公太郎がドライフラワー店の店主を務めるように、女性向けの「かわいい」印象だけでなく、男性にも通じるドライフラワーの魅力があるとスズキさんは話す。

「主人公のまことで言うと、『かわいい』というイメージ。ただ、公太郎のアトリエから作り出されるものなので、もう少しメンズライクな感じもあると個人的には思っています。『ドライフラワー=かわいい』というイメージがありますが、自分の部屋に飾るインテリアとして作り込んでいきたい方などは、『かわいい』とは違う、わりとネイティブ系なものを選んでいかれます」