ギフトは「いかに相手のことを考えるか」。丁寧な接客から生まれるもの

大学卒業後からフラワーデザインを始め、今年で25年ほどになるというスズキさん。接客の際には「どう飾りたいか」などできる限り丁寧に話を聞いている。
「ドライフラワー自体は始めて15年ぐらいです。どのような花瓶をお持ちなのか、花瓶自体をこれから探したいか、壁にかけたいのかなどを伺います。例えばテレビの脇に置きたいとか、テーブルの上が殺風景だから何か置きたいなどがあれば、テーブルに置くものは背が高くないもの、逆に玄関に床置きにしたいのであれば、背の高いものを提案するなどしています」
ドラマの中でも、公太郎がまことに贈るように、ギフトとしてドライフラワーを買い求める人も増えている。その際も同様に、客の声に耳を傾けている。
「ギフトだと男性のお客さまがやはり多いかなと思います。生花店でお花を頼むよりも、ドライフラワーだと、もう少しラフな気持ちでお店に来られたり、長持ちするのでサプライズで渡すまでの間、隠しておいたりもできます。その際にも、お客さまが好きな色ではなくて、渡すお相手の方の好きな色を聞いたり、分からないようであれば着ている服や身に着けてるアクセサリー、インテリアの傾向などを伺ったりもします。受け取る側も、自分のことを考えてくれていた時間がうれしいなと感じると思います」
こうした接客などの姿勢は、スズキさんが研鑽(けんさん)を積んできた中で学んできたと言う。
「初めはきっとそうじゃなくて、『自分が作りたいもの』を表現したいだけだったのかもしれないなと思います。ただ、やっぱりお花屋さんにとっては、お客さまにお渡ししたときに『わぁっ』っとなってくれるあの瞬間が最高のご褒美なんです。そのご褒美をいただきたいから、自然にそういう風になっていったのかもしれません。作家活動としてだけではなく、自分のお店を持つようになってからですね。お客さまの反応がビシバシ伝わってきて、自分がどんどん変わっていきました」
今は「自分がお店をやっていくということは、お客さまと直接どんどん関わっていくということ」と考えるようになったというスズキさんは、最後にこう言って笑顔を見せる。
「コロナ禍は、お店でも対面でそんなに長くお話してもいいのかが分からなかったので、つらかったのですが、今はゆっくりお話ができてうれしいです」
