円を持っていることへの不安がスパイラル的に動いてしまっている

新NISAが円安に拍車をかけているとの指摘について、大和証券チーフエコノミストの末廣徹さんは、「元々、NISAは将来、長いスパンでの資産形成のための制度なので、短期的な理由だけで悪いというのはよくない」と前置きしながらも、円安の急進は「副作用」だと指摘します。

また、その背景について「将来の不安から、みんながNISAを使って、かつ外貨に投資をするような形でそれがまた円安につながって、もっと不安になって…円を持っていることへの不安がスパイラル的に動いてしまっている」と説明します。

では果たして政府はこうした動きを予想できなかったのでしょうか?

「これはこれで正解だった」と思っている

みずほ銀行の唐鎌さんは、政府は新NISAをきっかけとした円安の加速を「予想できた」と話します。

というのも、日本人が国内の株を売って、海外の株を買う動きは既に2020年から出ていたというのです。

ただ、政府が「資産運用立国」の実現を掲げる中で、海外の株式に投資することに制限を設けることは難しかったのではないかと推察しています。

その上で、新NISAのあり方について「制度はシンプルな方が良いので、最初は何の制限もなく始まったことは『これはこれで正解だった』と思っている」としています。

大和証券の末廣さんも「日本人は投資に対する心理的ハードルが高いと言われていて、それをうまく解消するという意味では、かなりうまくいってる制度だと思う」と話します。

しかし、円安の進行に歯止めをかける手段はないものでしょうか?