鳥取県の大山乳業が、7年ぶりに自社製造のチーズの販売を再開することになり、8日、試食会が開かれました。
なぜ販売を再開したのか?背景には、酪農家が抱えるある深刻な悩みがありました。


8日、鳥取県伯耆町の「大山まきばみるくの里」。
大山乳業が10日から販売する2種類のチーズの試食会が行われました。

1つはクリームチーズ、そしてもう1つはカチョカバロチーズです。

気になるクリームチーズのお味は?

キャスター 薄井 靖代
「ではいただきます。なめらかな口どけです。あとから酸味もあって、さっぱりとした味わいですね」

大山乳業が自社製造のチーズを販売するのは実に7年ぶりのこと。
そこにはある理由がありました。

大山乳業農業協同組合 営業兼開発センター 榎田勝文課長補佐
「チーズをやることによって、鳥取県の酪農とか乳業が盛り上がる。私たちの活動のすべては酪農家の社会的地位の向上というのが大事なところになるので」

鳥取県大山町の「ファーム山下」。
ここでは、約50頭の乳牛を飼育、1日約1トンの生乳を生産しています。

ファーム山下 山下正太さん
「ウシに食べさせるエサが、1.5倍くらいに高騰しているのが大変」

いま、酪農家を苦しめているのがエサの価格の高騰。

コロナ禍前は1キロあたり60円台でしたが、いまではその1.5倍、90円台に値上がりしてると言います。

ファーム山下 山下正太さん
「(エサの価格が)信じられないくらいのスピードで上がっていくし、この先どこまで上がるんだろうかと先が見えない状態」

ウシ1頭から1日にとれる生乳は、約30リットル、取引価格は約3500円。対して、エサは25キロ必要で、その費用は約2300円。(全部購入した場合)
そこに値上がり傾向の光熱費なども加わるため、手元にはほとんど残らないといいます。

7月、山陰両県の酪農家の生乳販売を受託する中国生乳販連は、今年11月から、生乳の取引価格を1キロあたり10円引き上げることを了承しましたが…。

ファーム山下 山下正太さん
「とても10円では太刀打ちできないようなエサの値上がりなんで、本来ならば20円、30円と上げていただきたい」

大山乳業は、苦境にあえぐ酪農家の期待も背負い、「白バラのチーズシリーズ」の製造・販売を決断しました。

2つのチーズは、「大山まきばみるくの里」と、大山乳業工場内にある「みるく館」で、10日から先行販売。
第2弾も検討しているということです。