軍は徴兵制を実施 若者たちの「判断」は

看護学生からPDFに加わり、最前線で活動を続けるイモンさん(24)。3年経ってもイモンさんの笑顔は変わりません。

イモンさん
「私は医療チームだが、今は80人以上の新人が来ているので、みんなの食料や靴、帽子、ベルトやリュックサック、全ての備品を揃えるのが大変」

イモンさんの部隊にも多くの若者が集まってきているようです。軍の徴兵制で若者たちは、ひとつの判断を迫られました。

イモンさん
「軍に入るか、PDFに入るか。死ぬくらいなら私たちと一緒に戦う、そう覚悟してたくさんの新人が入ってきた」

イモンさんは今、医療班のリーダーとして新人の教育にもあたっています。

イモンさん
「新人の中に医療に興味を持っている人がいるので、応急処置のやり方などを教えている」
日下部キャスター
「じゃあ今は先生なんですね、偉くなったんですね」
イモンさん
「持ち上げないでください。調子に乗るから」

笑顔とは裏腹に、戦場の生活では常に緊張を強いられているようです。

イモンさん
「ここには安全と言える場所はない。軍のスパイがいるかもしれない」
日下部キャスター
「スパイが入ってきている可能性もあるんだ」
イモンさん
「たくさんいます」
日下部キャスター
「心が落ち着かないですね」
イモンさん
「私は部隊で一番疑い深い人間ですね」

戦場は時に若者たちに感情を押し殺す事を求めますが…

イモンさん
「3年経ったが、他の仲間みたいにもう泣けなくなった。心が強くなったということはない」

イモンさん
「涙が出なくなったということもない」
マティダさん
「泣かないで」

そんな戦場にあって、イモンさんに励みとなる出来事がありました。

イモンさん
「弟が部隊に来たことです。血が繋がっている人が一人いるだけで自分の家にいるようです。嬉しいです。弟が来てから嬉しくてたまらない」

その弟もこの日、最前線に向かいました。「心配でしょ?」、そう尋ねると、「弟だけでなく、前線のみんなのことが心配です」とリーダーらしい答えが返ってきました。

3人の若者と頻繁にやりとりをしているウィン・チョウさんとマティダさんは、彼らの変化をこう話します。

ウィン・チョウさん
「1年目の時は彼らは、軍に対して心配しているという顔と、疲れている顔をしていたが、今年3年になって、みんな強くなって、自信を持っていて明るくなっていて、(勝利は)もう俺たちだというのが出てきた」

マティダさん
「でも、子どもたちを見ているとかわいそうに思う。なぜ国の若い子たちが武器を持って戦わないといけないのか。早く軍も目を覚ましてやめてほしい。軍もビルマ人でしょ」

クーデター以降、ミャンマーに戻ることができないウィン・チョウさんとマティダさん。2人は日本の支援者とも協力し、ミャンマーの若者や避難民へ生活物資を送るなど支援を続けている。