政権交代には足りない支持率

実際、政権交代は起こりえるのだろうか。過去に政権交代が起きた際のJNN世論調査を調べてみた。上のグラフは政権交代が起こった2009年の、自民党と民主党(当時)の政党支持率の推移だ。両党の支持率が拮抗する状況が続いていたことがわかる。これに比べ、5月に行ったJNNの世論調査では、自民の支持率が23.4%なのに対し、立憲の支持率は10.2%。数字上は政権交代がほど遠いのが現状だ。
岸田内閣の支持率が低迷しているにもかかわらず、立憲の支持率が上がらないことについて、ある立憲幹部は「“悪夢の民主党政権”というフレーズがいまだに効いている」とぼやく。「国民が立憲の政権担当能力に懐疑的である状況を解消できていない」との分析だが、これに対する特効薬を見つけられずにいる。
政権交代には足りない候補者数

さらなる問題も立ちはだかる。
次期衆院選での過半数ラインは233議席だが、現在、立憲が小選挙区で擁立している候補者数は178人(比例単独1人を除く)にとどまっている。200人を擁立する目標を打ち立ててはいるものの、仮に全ての選挙区で勝利したとしても、立憲単独での政権交代は不可能だ。
立憲は目標を上方修正したい考えだが、一方で候補者を擁立すればするほど、あるジレンマに陥ってしまう。
現在、野党各党は全国各地の選挙区で候補者の擁立を進めていて、すでに野党同士の競合が多発している。今後、立憲が候補者擁立をさらに進めた場合、こうした競合区が増えることは予想されうる事態だ。無論、立憲から一方的に「ウチの方が勝ち目があるから、おたくの候補者をおろしてくれ」などという交渉を行うわけにもいかず、今よりもハードな候補者調整が求められることになるのだ。
立憲が単独過半数を獲得できるだけの候補者を擁立できない場合、他党との連立政権を目指すことになるが、これも見通せていない。泉代表は去年、共通した政策のもとに政党が集う「ミッション型内閣」を突如として打ち出したが、他の野党からは冷ややかな目で見られたままで、この構想も宙に浮いたままだ。