量刑にはどんな事が考慮される?

量刑については、大谷選手の口座から約26億円不正送金した「銀行詐欺罪」約6億円の所得を申告しなかった「納税申告虚偽記載罪」の二つです。鈴木さんは「禁錮8年半から12年ぐらいではないか」と見ています。

ホラン千秋キャスター:
以前も「レポートがかなり重要な役割を果たしてくる」というお話をされていましたが、どういった背景からアメリカでは被告の人生にまつわることまで詳細に書かれたレポートを重要視するようになったのでしょうか?

米・カリフォルニア州弁護士 鈴木淳司さん:
まず、このレポートというのは、裁判所が連邦事件で特に有罪を認められた後に、量刑を決めるための一番の基礎とする内容が書かれたものです。

有罪を認めた後には、黙秘権というものがなくなります。なぜこのような犯罪に手を染めて、罪に問われることになったのかというのを、どこで生まれて、どの学校に行き、どういうことをしてきたかを全て書きます。そして個人情報が丸裸になったものを、裁判官が目にするので、プラスマイナス両方考える基礎となると思います。

ホランキャスター:
「ギャンブル中毒の問題ではない」と検察側は主張したいのでは、という話がありましたが、弁護側の観点に立つと、やはり「ギャンブル依存症の部分が大きい」ということを主張したいということでしょうか?

鈴木淳司さん:
弁護側は今回、情状を求める基礎とするために、「ギャンブルが彼を狂わせてしまった」というシナリオを作りたい。さらに言えば、若いときから何らかの形で大人のギャンブルに巻き込まれていた、など生い立ち上なにか事情があり、彼がそれを自分でコントロールできなかった範囲が非常に広かった、というような印象付けを弁護側は行いたいと思ってるのではないでしょうか。

ホランキャスター:
様々な事が争点になってくると思いますが、量刑についてはいかがでしょうか。

弁護士 萩谷麻衣子さん:
私はアメリカの事はわかりませんが、日本でも刑事裁判の中で量刑を決める際、一般情状として、生い立ちや家庭環境、交友関係、経済的状況などを斟酌することはあります。

ただ、事件によりますし、重罪事件ほど詳細なものは調べますが、全ての事件について捜査機関とは別の機関が調査するということはないので、すごく特殊だと思います。

保護観察機関に「黙秘権がない」ということは、捜査機関とは別の独立した機関が調べるということなんですか?

鈴木淳司さん:
行政機関ではありますが、裁判所に非常に近い機関です。量刑も基本的にはガイドラインがあったとしても、この保護観察局が「このような形が良い」と裁判所に進言するので、非常に裁判所に近い行政機関であり、裁判所と被告人を繋ぐ役割をしている非常に大事な機関の一つです。