日米の防衛協力が「破滅的な結果を生むことになりかねない」
偶発的に始まるかもしれない武力衝突。そんな中、日米はフィリピンへの支援を続けている。首都マニラの港では…

松井智史 記者
「いま見えてきました。日本から供与された大型巡視船です」
日米の海上保安機関は2023年、合同でフィリピンの沿岸警備隊に船舶の整備などに関する指導を行った。
3か国が見据えるのは南シナ海情勢だけではない。台湾有事だ。4月、ワシントンで開かれた3か国の首脳会談でも、共同声明で台湾について言及した。

『台湾に関する我々の基本的立場に変更はないことを認識し、両岸問題の平和的解決を促す』
3か国は、軍と自衛隊による合同訓練を強化するという。さらに、アメリカ軍は、フィリピンとの協定で、9か所の基地を使用できるようになった。
中国が台湾に侵攻した場合、それらが前線基地になるのではないか、との見方もある。台湾に近い基地周辺の住民を訪ねると、こんな不安の声が。

基地周辺の住民
「私たちの多くは(基地使用に)反対です。アメリカ軍が基地を使えば、中国との間で私たちは板挟みです」
基地周辺の住民
「台湾で戦争が起きたら、私たちは巻き込まれるでしょう」
フィリピン大学、海洋法の専門家は「防衛協力は必要」としたうえで、こう指摘する。

フィリピン大学法学部 ジェイ・バトンバカル教授
「フィリピンがアメリカとの連携を強化し続ければ、中国からの圧力が、さらに強まって破滅的な結果を生むことになりかねません。フィリピンはアメリカと中国の対立の激化は望んでいないのです」