「覆面介入」なら5兆円規模か

もっとも、市場では政府・日銀が為替介入の事実を明らかにしない「覆面介入」に踏み切ったとの見方が大勢だ。

4月30日に日銀が公表した統計も為替介入を示唆する内容となっている。

30日午後7時すぎに公表された5月1日の当座預金残高の見通しを見ると、政府と金融機関の資金の動きを示す「財政等要因」の増減がマイナス7兆5600億円となり、短資会社が予想していたおよそマイナス2兆円を大幅に下回った。

あくまで市場予想との比較のため、数千億円~1兆円程度の誤差がある点には留意が必要だが、日銀の見通しと市場予想の差額であるおよそ5兆円が円買い介入の規模と推測できる。

政府・日銀による円買い介入は2022年10月21日に実施した5兆6000億円が最大だが、これに匹敵するほど大規模な介入となった可能性がある。

実際に介入したかどうかは5月末に財務省が公表する4月26日から5月29日分の合計の介入額で明らかになる。

5兆円介入でも効果は息切れ気味

一時、154円台まで円高方向に進んだ円相場だが、アメリカ経済の堅調さを示す経済指標が相次いで発表されたことで、5月1日の東京外国為替市場では158円台目前まで再び円安が進んだ。

縮まらない日米の金利差に由来する円売り圧力の前に、仮に巨額の介入があったとしてその効果は早速、息切れ気味だ。

「効果としてはイマイチだったと感じる」

市場からはそんな声が聞こえてくる。

実際、2022年10月実施の介入では、約5円70銭押し下げ、下落率としては3.8%だった一方、今回の下落率は3.1%にとどまった。

これについて外為どっとコム総研の神田卓也調査部長は、「同程度の金額を使っても、前回ほど下げなかったとすると、円売り・ドル買い意欲の強さを再認識させることになるのではないかと危惧している」と話す。