地球を笑顔にするウイーク、今回はコメ農家が取り組むSDGsです。「中干し」の期間を延ばすことが脱炭素につながる?農家の収入アップにも繋がる取り組みを取材しました。

新潟県 上越市でコメづくりを行う「蛍の里」の石田寿久さんです。

石田さんは去年のコメづくりで田んぼの中干し期間を1週間延長しました。それで得られたのが…

【蛍の里 石田寿久】「16ヘクタールやって去年が50万くらい」

田植えのおよそ1か月後、稲の成長を調整するために田んぼの水を抜いて乾燥させる「中干し」。

これを延長することで収入が得られるとは一体どういうことなのか…
石田さんが利用したのが「Jークレジット制度」です。

二酸化炭素などの温室効果ガスの排出を削減したり吸収したりした分を航空会社やガス会社など二酸化炭素を排出してしまう企業などが買い取ることで脱炭素に取り組む人が収入を得られるというシステムです。

【NTTコミュニケーション ズ水島大地さん】「環境価値というものが企業に流通するとお金を頂いて農家にお金をお返しする」

その「J-クレジット制度」を使いNTTコミュニケーションズとJAえちご上越が連携して取り組むのが中干しの延長です。
実は水を張った田んぼは温室効果ガスの一つ、メタンを排出しています。地中にあるメタンを生成する菌は酸素が多いと活動できません。水を張ることで土の中の酸素が減っていくと菌の活動が活発になりメタンが排出されてしまうのです。

国内のメタンのうち44%が稲作によってつくられていますが、水田を乾かす「中干し」を例年より1週間延長することでメタンガスを3割ほど削減できるということです。                                                          

【蛍の里 石田寿久さん】「今までの作業の中に含まれていて、それくらいの収入があるということは非常にうれしいことですよね」」

石田さんは去年、試験的に16ヘクタールの田んぼで中干しの延長を行いました。Jークレジットの制度活用で16ヘクタールで50万円の収入。

中干しを延長しても収穫量が減ることや品質への影響はなかったということです。

JAえちご上越はこの中干しの延長による「J―クレジット」の利用について参加する農家を増やしたい考えで上越市の各地で説明会を開きました。

【農家は】「環境に配慮した農業は大切かなということで参加してみたい」

【JAえちご上越 岩崎健二 常務理事 】「中干期間を延長しての排出ガスの削減のコメ作りの支援はきなブランド力になるかと思っています。実際、そういうコメを購入したいという業者、実需者、卸、そして、食べたいという消費者の皆さんの期待は大きく膨らんでいくだろうと思います」

石田さんは今年、所有する全ての田んぼ150ヘクタールで中干しの延長をする予定だということです。

【蛍の里 石田寿久さん】「自然に対しての貢献ができるというのは非常に嬉しいことです」

【NTT】「中干しというのはあくまでスタートで、それ以外の環境にいい取り組みが普及していくきっかけになるかなと。新潟米どころということでここから脱炭素の取り組みを発信していきたい」

NTTコミュニケーションズはこの取り組みを県内に広げていく予定だということです。