■「無くなるくらいだったらやらせてくれ」“脱サラ”新米店長が銭湯を盛り上げる

そんな栗田さんと共に廃業寸前だった銭湯を引き継ぎ、脱サラしてまで店長になった若者がいます。
「梅の湯」から歩いて5分の距離にある、「千代の湯」。番台で迎えてくれたのは、店長の長谷川雄太さん。

高柳アナウンサー
「年齢はおいくつなんですか?」

千代の湯店長 長谷川雄太さん
「今30歳で、今年31歳になります」

ちょうど1年ほど前に店長になったという新米店長に、地元の人たちは…

お客さん
「前の女将さんがやってる時ね、やめるって言われてどうしようかと思って。(続けてくれて)ありがたいですね。本当に助かりました」


実は高齢だった先代の女将さんのため、店長になる以前から浴室の掃除をボランティアで手伝っていた長谷川さん。

千代の湯店長 長谷川さん
「『無くなるくらいだったらやらせてくれ』って感じですね。後釜がいなくて、廃業にするとかっていうくらいなんだったら、自分にやらせてくれみたいな」

■地元で人気の“愛され店長” 銭湯存続のために“青空市”も

銭湯を存続させたい…そんな長谷川さんは、お客さんのために新しくあることを始めたといいます。
脱衣所には通常の銭湯にはない、古着やパン、レトルトなどの食品まで揃っています。


千代の湯店長 長谷川さん
「(お客さんは)ご高齢の方が割合多かったりしていて、お風呂入ったあとに、またスーパーとかコンビニにわざわざ買い物に行くのとかが大変ってお客様が意外にいらっしゃったりして、足腰悪かったり」

この1年間、懸命に千代の湯を盛り上げてきた長谷川さん。今では地元住民に愛される存在になりました。

お客さん
「従業員含めてまた頑張ってよ!」

千代の湯店長 長谷川さん
「ありがとうございます。いつも助かってます」

なかには、脱衣所で使うバスマットを差し入れてくれるお客さんまで。


千代の湯店長 長谷川さん
「分厚くて、かなり作りもしっかりしてるので、これはありがたいです。なかなかこういうの無いんですよ」

今や、すっかり愛され店長に。お店には、お客さんから感謝の言葉が寄せられました。

お客さんからのメッセージ
「引きついでくれてありがとう」「みんな大好きです」

千代の湯店長 長谷川さん
「続けてくれてよかったっていう声が、僕たちのモチベーションにもなったので。引き継いだ甲斐があったのかなっていうのはやっぱり思いますね」

月に一度の恒例行事、お店の前で行う「青空市」。お客さんが集う憩いの場となっています。


お客さん
「銭湯でこういうこともやるんだって。いいなって」

長谷川さんの“おもてなし”の心は、お客さんに届いていました。

荒川を舞台にした、下町人情銭湯。若い店長の奮闘は、これからも続きます。