ピークは平成2年、1円は27億枚超を製造 今や全盛期の「数千分の1」に
いったん1円に特化して見ていくと、製造枚数が最多だったのは、平成2年で、1年間で27億枚超が製造されました。一方、令和に入ってからの5年間の製造枚数はそれぞれ46〜84万枚と、全盛期の数千分の1しか製造されていません。
製造枚数はどう決めるのか。決めているのは造幣局ではありません。財務大臣が定めた「貨幣製造計画」に基づいて、造幣局は製造しています。財務省の担当者は「市中における貨幣の流通動向などを踏まえ決定しています」と話します。
4月に発表された最新(令和6年度)の製造計画でも、1円・5円・50円の製造枚数は100万枚にとどまっています。
キャッシュレス化が関係しているような気がしますが、この場合、製造というよりも流通の枚数に目を向ける必要があります。
実は、製造枚数は減っていても、流通枚数が大きく減っているわけではありません。日本銀行の統計「通貨流通⾼」によると、むしろ、100円と500円に関しては流通枚数が増えています。その一方で、1円・5円・10円・50円の流通枚数は2000年代がピーク。その後は減少傾向です。
キャッシュレス化の進行と製造枚数の減少に関係はあるのかという問いに、財務省の担当者は「(貨幣上にはやりとりの記録が残らない)貨幣の匿名性などの観点から、関係性を断定することは難しいです」とする一方で、流通枚数も考慮して製造枚数は決めているといいます。
