ロシアによるウクライナ侵攻が始まってから半年が経とうとしています。国際医療ボランティア団体「AMDA」の一員として、約3か月ウクライナの隣国・ハンガリーで避難民の支援をした看護師が、現地で見たウクライナの現状を語りました。
■3か月間 隣国ハンガリーでウクライナ避難民を支え続けた看護師・榎田さん


(AMDA派遣看護師 榎田倫道さん)
「自宅も爆撃を受けたという人もいましたし、今まで築きあげてきた人間関係や持っているものが失われてきている。そういった場面が一度や二度ではなくて、よく目にしていたので、そういった場面を実際に目にして本当に胸が苦しくなる思いでした」

ウクライナの現状を話すのは、岡山市に本部を置く国際医療ボランティア団体「AMDA」の看護師・榎田倫道さんです。

岡山市出身で、オランダで看護師として働く榎田さんは、約3か月間ハンガリーで避難民を支援しました。

侵攻開始から間もなく半年、ウクライナの街は破壊され続けています。国外に避難する人の中には多くの子どもたちが含まれていました。


(AMDA派遣看護師 榎田倫道さん)
「いちばん気を付けていたのが、子どもの存在でした。いろんな状況の中で傷ついてきた子どもたちを目にしてきたので、そこに対するケアというのをいちばん大事に活動してきました」
■揺れ動き、脆く壊れそうな現地の子どもたちの心

子どものケアを考えるようになったのは、ある少女との出会いがきっかけだったといいます。


(AMDA派遣看護師 榎田倫道さん)
「お父さんは現地のウクライナに残っている状態で、家族3人で国境を超えてきた人でした。お母さんがお父さんのことと現地のことを思い出して、ふとした時に急に泣き出してしまうような感じでした」

「この子はまだ若いんですけれど、お母さんが泣いてしまうと、ぐっと抱きしめて頭をなでながら『大丈夫、大丈夫』って支えてあげているんですね」

「それは素晴らしいんですけれども、普段の状態じゃないんですね。やっぱりその子も気が張っていて、少しテンションがハイになっているというか、しんどそうな状況に見られた」

ケガの手当だけでなく、「子どもらしさ」を取り戻す何かをと、榎田さんが考えたのが「自由に絵を描くこと」。緊迫した状況で、家族との触れ合いもままならない子どもたちをさみしさから救いたい。。。その一心でした。


(AMDA派遣看護師 榎田倫道さん)
「こうやって何か作品ができると、必ず大人たちが見てくれるんですよ。注目をそこで集めることができて、関心がまた自分に向いてくれる」
「その瞬間というのが、子どもたちが『避難してきた子どもたち』ではなくて『いつもの子ども』に戻れる瞬間だと感じて。長い避難生活になると思いますが、子どもらしさを取り戻してもらえたらと思って」