“ポスト岸田”に立ちはだかる2つの壁

2021年10月の総選挙 衆院に鞍替え

林氏の著書「国会議員の仕事;職業としての政治」より(2011年刊・引用は2010年の発言)
「『トップにならないとできないことがある』と気づきました。国にとって重要な事柄は最終的に総理の決断で決まる。『この方向で行こう』というアジェンダ・セッティングも、基本的に総理の仕事です。今は、本気で総理になりたいと考えています」

著書でこのように宣言してから早14年。今も総理大臣の座を目指す林氏だが、2つの壁が立ちはだかる。

ひとつは、「停滞する支持率」だ。
JNNの3月の世論調査で、「自民党の中で次の総理にふさわしい人は誰か」を聞いたところ、林氏はわずか0.5%で11位にとどまった。これまでのキャリアと比較すれば厳しい結果と言わざるを得ない。

もうひとつの壁は「宏池会(岸田派)」だ。
岸田派に所属していた林氏は、トップである岸田総理への配慮を欠かすわけにはいかない。また、内閣のナンバー2である官房長官でもある以上、岸田総理が総理を退くまでは、トップへの意欲を見せることすら義理を欠くと、多くの人は感じるだろう。

2012年に林氏が総裁選に出馬した際に推薦人となった猪口邦子参院議員は
「次の総裁選を狙うような浮足立つ人物を岸田総理は官房長官にそもそも任命しない」と、岸田総理が林氏を重宝するのは“献身的なサポートを惜しまない”「信頼度の証し」だと話す。

さらに、本来は総裁選出馬に必要な「20人の推薦人」確保に大きな役割を果たす派閥が、もはや解散を決めてしまったという事情もある。
実は、1月に岸田総理が派閥の解散検討を表明した際、事前に知らされた林氏は反対したと複数の関係者が証言している。ある側近議員は「派閥がなくなってしまっては、自身が総裁選に出るときに基盤がなくなると思ったのだろう」と解説した。