小学生レベルの「読み書き」できない人が3割
そこで、月形刑務所が独自で始めたのが、個別の学習指導です。
「小さい『っ』ですね。ちょっと書いてみましょうか」
刑務官が語りかけるのは、60代の男性受刑者です。鉛筆を手に老眼鏡をかけて、机に向かっています。
この男性受刑者が書いた作文です。

「私は、たくしいのむじんじようしやおして、刑務所にはえることになりました」
(私はタクシーの無賃乗車をして、刑務所に入ることになりました)
60代の男性受刑者は、「て・に・を・は」といった助詞や、小さい「つ」などの促音を文章で正しく使うことができません。
刑務官と60代男性受刑者のやりとりが続きます。
刑務官
「『きゅうしょく』なんですけど、ちょっと難しいですね」
60代男性受刑者
「いやあ難しいなあ。2番目がわからないんだ。わかんねえな、まいっちまうな」

月形刑務所には小学校レベルの読み書きや簡単な計算すらできない人が、全体の3割ほどいるといいます。
60代の男性受刑者
「句点なんてわからなかったです。ここで初めて覚えた。姉さんに(手紙で)書いてやったのです。ここで勉強やっているってことを。(姉からは)飽きないで、一生懸命先生のいうこと聞いて、頑張ってくださいねって返して寄こしました」

刑務官
「読み書きができなければ、周りとコミュニケーションとれない。役所で手厚いサービスをやっていてもパンフレットすら読めない。申請書を書くこともできない。それが再犯につながる」
若い受刑者も例外ではありません。