2人の関係と検察側・弁護側の主張は…
伊藤寿哉被告と被害者の鈴木理文さんは、事件の7~8年前から仕事を通じて知り合い、事件が起きる10日ほど前から伊藤被告は鈴木さんの自宅に居候していました。
伊藤被告は鈴木さんのことを「マック」「リブン」、鈴木さんは伊藤被告のことを「としや君」と、お互いにあだ名で呼びあっていました。

検察側と弁護側の主張の違い~事件の経緯と犯行状況~
▼事件の数時間前(2018年10月25日 夕方~午後10時ごろ)
<検察側>
伊藤被告と被害者は夕方から被害者の自宅で飲酒。
その後、近所の居酒屋でも飲酒。
<弁護側>
2人で1リットルの焼酎を飲み干す。
焼酎を飲み終わった後、2人で居酒屋へ向かう。
▼事件20分前(2018年10月26日午前0時ごろ)
<検察側>伊藤被告と被害者が居酒屋から柿3個を受け取り、居酒屋を退店。
<弁護側>居酒屋から柿を数個もらい、居酒屋を出る。
▼事件発生(2018年10月26日午前0時20分ごろ)
<検察側>
2人が被害者宅に帰宅。
伊藤被告は、持ち帰った柿3個のうち1個の皮をナイフでむいて食べる。伊藤被告が被害者の右上腕部をナイフで突き刺し、右上腕部刺創などの傷害を負わせる。
<弁護側>
伊藤被告が先に被害者宅に到着。
伊藤被告は、部屋に入ってから間もなく寝る。柿はこたつのテーブルの上に置いた。しばらくして被害者の声が部屋の外から聞こえる。伊藤被告が目を覚ますと、部屋の中で血を流している被害者を発見。
→午前0時20分ごろの伊藤被告の行動をめぐり、検察側と弁護側で真っ向から主張が対立
▼事件直後(2018年10月26日午前0時44分ごろ)
<検察側・弁護側>伊藤被告が消防に通報。
▼事件後 救急隊到着(2018年10月26日午前0時50分過ぎごろ)
<検察側>
救急隊が、現場に臨場。
その際、現場にいたのは伊藤被告のみ。救急隊が、被害者の右腕の下で血液が付いたナイフを発見し、安全確保のため、冷蔵庫上の容器に置いた。伊藤被告が冷蔵庫上の容器からナイフを持ち出し、洗った後、台所のシンクに置いた。
→証拠隠滅を図った可能性があると主張
<弁護側>
救急隊が被害者の右腕の下で血液が付いたナイフを発見し、安全確保のため冷蔵庫上に積み重なっている容器の上に置いた。狭い部屋に救急隊員が入り密集していたことから、伊藤被告は何らかの拍子でナイフが落ちてしまうのは危ないと考え、ナイフを台所のシンクに置いた。ナイフを洗ってはいない。
→証拠隠滅を図ったわけではないと主張
▼事件1時間半後(2018年10月26日午前1時46分ごろ)
搬送先の病院で被害者の死亡を確認。