『事件性』について~検察側と弁護側の主張は~
<検察側>
・傷の方向が違う「2つの刺し傷」があったのは右上腕部前面だが、被害者の利き腕は右なので不自然
・被害者の血中アルコール濃度は高く、事件当時の被害者は意識混濁で力が入らない状態
・被害者は仰向けで発見され、ナイフが腕から抜けた状態
・被害者に自殺する動機や予兆がなかった
→『事件性』があると判断
<弁護側>
・鈴木さんのアルコール血中濃度は0.31%でまともに立てず、意識もはっきりしない高度の酩酊状態だった
・鈴木さんが居酒屋からもらった柿をむき終えたあと、左手でナイフを握っている際に態勢を崩して床に倒れこみ、ナイフが刺さってしまった可能性がある
・鈴木さんが右腕に刺さったナイフを抜こうと体勢を変えるなどした際に、誤ってナイフが角度を変えて再び腕に刺さってしまった可能性がある
→『事故』の可能性が十分にある
『犯人』は誰か?~検察側と弁護側の主張~
<検察側>
・救急隊が臨場した際、現場にいたのは伊藤被告のみだった
・救急隊が被害者の救命活動を行っている際に被告は、血が付いた状態で発見されたナイフを冷蔵庫の上にある容器から持ち出し、洗い流した後に台所のシンクに置いた
・第三者が侵入した痕跡がない
→犯人は伊藤被告以外にあり得ない
<弁護側>
・仮に被害者の右腕の傷が誰かにナイフで刺されてできたものだとしても、目撃者がいない
・伊藤被告は被害者の部屋に居候させてもらい感謝していたし、居酒屋でも仲良く酒を飲んでいた
→伊藤被告には動機もなく、ナイフで刺すということは常識的にあり得ない