“2度目”の一審判決 新潟地裁の判断は…
3月11日。新潟地裁は被告に判決を出しました。
裁判所は検察側・弁護側の主張に対して、どのような判断を下したのでしょうか。

<事件性について>
弁護側の主張する『事故』の可能性について、新潟地裁の小林謙介裁判長は「被害者が左手にナイフを持って転倒し、腕に2回刺さった可能性は相当に低い確率で起こることで、そのような偶然が連続して生じるとは考え難い」と指摘。
また『自殺』の可能性については、「利き手ではない左手で自傷したというのも不自然。被害者が泥酔期にあったことを考慮しても、被害者が自傷した可能性はない」としました。
→弁護側が主張してきた『事故』『自殺』の可能性をいずれも退け、被害者は何者かによりナイフで刺されて死亡した『事件』であると認定
<犯人性について>
「被害者の自宅はマンションの中で最も出入口から遠い部屋であることからすれば、被害者と関係のない者による通り魔的犯行である可能性は考え難い。被害者の自宅には伊藤被告以外の第三者の侵入をうかがわせる形跡が見られない」
→常識的に見て伊藤被告以外の第三者が犯行に及んだとは考え難い
「臨場した救急隊員が発見し、冷蔵庫上のトレイに置いた血の付いたナイフを、素手でつかんで台所シンクの中の皿の中に投げ入れ、自分の手とナイフに付いた血痕などを洗い流した」
→犯人の行動とすればよく整合する
<量刑について>
「何らかのいさかいを原因とする突発的な犯行である可能性も考えられるが、被告人が寝食を被害者に依存していた経過からすれば、格別に酌むべき事情があるとは言い難い」とした一方で、伊藤被告が犯行後に119番通報し止血措置をとっていたことを考慮するとして、懲役10年の求刑に対し懲役6年の実刑判決を言い渡しました。

1度目の裁判員裁判では「伊藤被告が被害者を刺した可能性は一応あるが、事故の可能性を否定できず、伊藤被告が被害者を刺したとすれば不自然な点や不可解な点が多くあり、伊藤被告が被害者を刺したことが常識に従って間違いないとはいえない」として無罪を言い渡していました。
一方で2度目の裁判員裁判では、弁護側が主張する『事故』や『自殺』の可能性が退けられ、『逆転有罪』という結末になりました。
弁護側は控訴し、今後“2度目の控訴審”へと進みます。