(若狭敬一キャスター)
静岡県の川勝平太知事が突然、辞意を表明しました。
リニア中央新幹線の工事計画に大きく関わってきた人物だけに、今後の進展に一体どのような影響を与えることになるのでしょうか。
エコノミストで中京大学の客員教授の内田俊宏さんとともに考えていきます。
まず川勝知事ですが、これまでにも問題発言はあったようですね。

(山内彩加アナウンサー)
2021年には、かつて学長を務めた大学の女子学生に対して「11倍の倍率を通ってくるんですから、みんなきれいです」と女性蔑視ともとれる発言をしたり、2021年には静岡県の御殿場市を「あちら、コシヒカリしかない」と揶揄(やゆ)したり。
ことし3月に静岡県の磐田市を拠点とする女子サッカーチームに「磐田の文化は高い。浜松よりもともと高かった」と地域差別ともとられかねない発言もあり、今回の新人職員への訓示での「野菜を売ったり牛の世話をするとは違う、皆さんは知性が高い」という発言に至ったということです。
(若狭キャスター)
これまでも失言は多くあったんですが、今回は知事を辞職するとなると、やはりリニアがどうなるかというところが気になりますね。

(山内アナ)
JR東海が開業を目指すリニア中央新幹線は、品川から名古屋まで最短で40分で結ぶという計画で、当初は2027年の開業を予定していましたが、ことし3月に断念しました。
静岡県に静岡工区の着工を認めてもらえなかったことが理由で、たとえ今、静岡県が工事していいですよと認めたとしても、開業は早くても2034年以降だと言われています。
静岡工区には大井川が流れています。
ここにトンネルを作ることによって長野や山梨に水が流れてしまい、河川や地下水の水の量が減ってしまったり、周りの動植物に影響を及ぼす可能性があるということで、ずっと反対していたのが川勝知事だったということなんですね。

(若狭キャスター)
内田さん、このリニア計画が進んでいく可能性はあるんですけれども、
もし仮にリニアが開通したとすると50年間で10.7兆円(三菱UFJリサーチ&コンサルティング試算)という経済効果があると見込まれている。これは大きな可能性を秘めているということでしょうか。
(エコノミスト 内田俊宏さん)
経済波及効果を貨幣に換算すると10兆円以上という効果になるんですが、リニアができることによって駅周辺の再開発であったり、まちづくり、インフラ整備などが一気に進む可能性がありますので、これは大きいと思います。

あとは、やはり最終的に大阪まで開通して東京・名古屋・大阪が一つの巨大都市圏になることによって、アジアでの国際都市の都市間競争に勝っていけるという効果も期待できると思います。
また確実に見込めるのが、今も増えていますが「インバウンド」ですね。
訪日外国人の観光客、名古屋はあまり取り込めていないんですが、リニアができると名古屋を拠点にして、名駅や栄のホテルに泊まって東京や大阪、京都を観光したり、北陸や伊勢や高山を観光する拠点になりうるという効果も期待できると思います。