『不適切にもほどがある!』と『水曜日のダウンタウン』。何かと話題のTBSのテレビ番組を手がけるプロデューサーの磯山晶と演出の藤井健太郎が、番組制作の裏話や演出の意図、そしてテレビのあり方を語り合った。
フジテレビの影響で変更された“幻のタイトル”

──金曜ドラマ『不適切にもほどがある!』は阿部サダヲさん演じる“昭和のおじさん”が、令和の現代へタイムスリップし、“不適切”な発言を連発するという内容が話題を呼んだが実はある“幻のタイトル”が存在したという。
磯山晶:(『不適切にもほどがある!』のプロデュースを担当)
最初は、中年のおじさんが頑張る話が良いなと思っていました。で、『毎度おさわがせします』(1985年から1987年までTBS系列で放送されたテレビドラマ。思春期を迎えた中学生の性の目覚めなどを描く)のようなドラマはどうかなと話し合っていました。
ただ、『毎度おさわがせします』のような内容を今やると、「昭和は良かった」みたいなノスタルジーで終わってしまうから、それではつまらないなと。で、昭和の人が、令和の今にいたら、いろいろと齟齬があるだろうなという話になり、今日に至る感じです。
最初は『時をかけるダメおやじ』というタイトルだったんです。そうしたら、2023年の10月に、フジテレビで『時をかけるな、恋人たち』というドラマが発表されました。それで大至急変えなきゃと。
藤井健太郎:(『水曜日のダウンタウン』の演出を担当)
その『時をかけるダメおやじ』というタイトルで、ある程度のところまで企画は進んでいたんですか?
磯山晶:
そうですね。もうポスターも発注していました。昭和の人が令和にやってきたら不適切な言動が多いのでは?というのが元々のストーリーなので、「不適切」をタイトルに入れることは全然、気にならなかったです。
『時をかけるダメおやじ』がダメになって、『うちの父、不適切につき』とか、代わりのタイトル案をいっぱい考えて、(脚本を手がけた)宮藤官九郎さんと話して、結果、『不適切にもほどがある!』になりました。今はフジテレビのおかげで、本当に良かったなと思います。
「プレッシャーはありました」2週連続でほぼ同じ内容を流した“真意”とは

──3月20日に放送されたバラエティ番組『水曜日のダウンタウン』では、前週とほぼ同じ内容が放送されたことが話題となった。番組の最後に「今年度の番組予算が底をついたため」というテロップが流れたが、その“真意”は何だったのか。
磯山晶:
あれは本当に予算がないからなんですか?