大量の書籍の行方は・・・

別の書籍代は、二階氏の地元・和歌山で支払われていた。二階氏が公表した手書きの領収書には、書籍代を受け取ったのは、出版社ではなく和歌山の印刷会社と記されている。和歌山に向かった。支払先である印刷会社を訪ねると、社長が取材に応じた。

印刷会社の社長
「今回のこの本に関しては、うちから販売したっていうよりは、印刷物を納めさせてもらったっていう」

ーー二階事務所に納めた?

印刷会社の社長
「お届けした。その対価としてお金をいただいたという形」

二階事務所から支払われた金額は、あくまで『原稿を印刷し、製本した代金』だという。

印刷会社の社長
「元々担当していたのがうちの叔父でして、亡くなりまして。詳しい内容に関しては分からないです。二階さんとのやり取りとか」

ーーどこに送ったんですか?こんな大量な本を?

印刷会社の社長
「二階事務所さんですよ」

ーー御坊市?

印刷会社の社長
「はい」

ーー3000冊も?

印刷会社の社長
「はい」

これまで二階事務所は購入した書籍は、「“選挙区外”の行政や議会関係者などに配布した」と説明していた。なぜ、 “選挙区外”と強調しているのか?公職選挙法に詳しい上脇教授は・・・

神戸学院大学 上脇博之教授
「(配布するのが)選挙区内の人であれば違法な寄付、公職選挙法違反の『選挙区内の者に対する寄付』になってしまいます」

領収書に記された9社を取材したところ3社から回答があった。二階氏が購入したとする1万1500冊(3社合計)のうち、約7000冊は地元・和歌山県御坊市の二階事務所に送ったという。

書籍は、選挙区内の有権者には配られていなかったのか?古い本を持っていた人がいた。商店街の理事長をしていた父親のものだという。

御坊市の有権者
「ありました。なんか分からないけど、父親ロータリーに入っていたんで、こんなのいっぱい。こんなのって失礼よな、二階先生の」

ーーこれ、どうしたんですか?

御坊市の有権者
「もらったのかな」

別の有権者は、以前、二階氏の集会で、本が無料で配られていたと話す。

御坊市の有権者
「二階さん本人が来て何か(集会)するときにくれた。2~3冊もらったよ。わしは近所やし」

さらに、収支報告書に記載された本を、無料でもらったという有権者も…

御坊市の有権者
「3回か4回ほどいただいたと思うんですけど、あの人は幹事長時代、本をこまめに出された」

自宅に貼られたポスター。男性は長年、二階氏を支援してきたという。

御坊市の有権者
「もう3年ぐらい前の話になるんかな。新風会(二階氏の政治団体)の方でお世話する人がうちへ持ってきてくれた。『これは二階さんが出版された本ですから、読んでおいてください』って言ってね、持ってきてくれました」

ーーお金は払うんですか?

御坊市の有権者
「いやいやそんなお金なんか(払わない)。その前にも持ってきてくれました。新風会の役員会に出席したときにいただいて帰ってきたこともありました」

これまで二階氏を支えてきたが、今回の「裏金問題」で不信感を抱いているという。

御坊市の有権者
「あの人が幹事長になって、自分の思うようにお金を使うようになる。もうお金にまみれた、そういうような政治じゃなしに、もっと純粋な方に(任せたい)と」

上脇教授は…

神戸学院大学 上脇博之教授
「これは弁明としてはおそらく『“選挙区外”の人に配布した』というのが、“嘘の説明”になってしまいますね。むしろ、疑念が生まれてしまったが故に、もっと説明責任を果たさないと(国民に)納得してもらえないと思います」