任期満了に伴う松本市長選挙は17日に投開票が行われます。

立候補しているのは、届け出順に、
新人の竹内貴也(たけうち・たかや)さん58歳、
新人の菱山晋一(ひしやま・しんいち)さん68歳、
現職の臥雲義尚(がうん・よしなお)さん60歳、
新人の赤羽俊太郎(あかはね・しゅんたろう)さん41歳、
新人の上條邦樹(かみじょう・くにとし)さん54歳
のいずれも無所属の5人です。

2期目を目指す現職に、新人4人が挑む今回の選挙戦。
各候補の戦いと訴え、争点をまとめます。


竹内貴也候補:
「大切なのは、市民の生命・財産です。松本で台風19号のような被害が発生しないように、今から準備を進めていく必要があります」

新人で、無職の竹内貴也さん。

奈良井川(ならいがわ)をはじめとする河川の整備計画について個人で調査を行ってきたとし、「治水対策の強化」を訴えます。

竹内貴也候補:
「100年確率で整備すべきところを、80年確率に下げているために、何百億何千億といった被害が市民に生じることが想定されています。今から対策を講じていく必要があると考えています」

危機管理や防災には女性の視点が欠かせないとし、関連部署に女性職員を増やすことを提案。

市内35地区の「地域づくりセンター」の有効活用なども掲げ、ビラ配りや街頭演説を通して浸透を図ります。

菱山晋一候補:
「市の職員としっかりと話をして、市の職員のアイディアを借りて、力を借りて市政を運営していきます。停滞しない。前に進める」

新人で、元会社役員の菱山晋一さん。

現職の市政運営を「独善的」と批判し、「対話と実行」をスローガンに掲げます。

菱山晋一候補:
「今の市政は議会としばしばぶつかっていて、庁舎がその最たるもので、4年間、庁舎建設という大きなものはピクリとも動かない。こういうのを停滞。独善的ではなく、民主的な、職員の力を生かした市政に変える」

個人演説会には菅谷昭(すげのや・あきら)前市長が姿を見せ、複数の市議も活動を支援。

市役所の現地建て替えと「危機管理・防災拠点」としての機能強化のほか、高齢者サービスの拡充や、農林業の振興などを訴えています。

臥雲義尚候補:
「子どもが笑い、女性と若者が集まり、お年寄りが幸せになる。そういう街に必ずなっていきます」

現職の、臥雲義尚さん。

前回選で初当選し、コロナ禍に直面する中、“松本のシンカ”をキーワードに市政を担ってきました。

臥雲義尚候補:
「私がいろんな意味で先陣を切らなきゃいけない、突破をしなきゃいけない。前例にないことを、自ら泥を被ってもしなきゃいけない。その状況でスタートした4年前と、いま、間違いなく松本は『シンカ』をしています。だからこそ、この『シンカ』を止めない」

4年間の実績として、31年ぶりの国民健康保険税の引き下げや、路線バスの公設民営化などをアピール。

連合長野から推薦を受け、「豊かさと幸せを実感できる街」として、子育て支援や教育環境の充実などを掲げます。

赤羽俊太郎候補:
「20年後、この街並みがどんな人が訪れ、どんな光景になっているか。皆さんとともに想像して、それに向かって歩いていきたい」

新人の赤羽俊太郎さん。

自民党・務台俊介(むたい・しゅんすけ)衆院議員の事務所で、秘書などとして16年にわたり働いてきました。

41歳という若さをアピールし、現役世代として「20年後の未来をつくる」と訴えます。

赤羽俊太郎候補:
「少子高齢化は、地方都市の共通の課題です。問題は、それを誰がやるか、誰がやるのがふさわしいかということだと思います。20年後の未来をしっかりと持てるのは私だと」

給食費や18歳までの医療費・公共施設利用費の無償化、若者や女性の起業支援などを掲げ、SNSも活用して浸透を図ります。

上條邦樹候補:
「弱者のために、市民のために、声を聞いて、当たり前のことを当たり前にやる。正義をしっかりと実現する松本市にしたいと、このように私は思っています」

前回選に続き立候補した、新人で会社社長の、上條邦樹さん。

新・市立博物館建設時の用地取得をめぐり、市民団体の一員として刑事告発を行うなど、日頃から市政に目を向けてきました。

上條邦樹候補:
「松本市を本当に信頼できる、そういった行政にしなければならない。松本市の正義が守られるように、法令遵守、コンプライアンス、そして待機児童ゼロにしたい」

待機児童ゼロや保育士の給与水準引き上げ、中心市街地活性化のための祭りやイベントに係る予算増額などを掲げ、街頭演説を中心に活動します。

過去4年の市政運営の評価が問われる、今回の選挙。

ここにきて1つの争点となっているのが、2024年2月の閉店が決まっている「松本パルコの後利用」問題です。

現市政は、20年にわたり年間3億円を支払って施設の上層階を借り上げ、図書館などの公共施設として整備・活用する方向で、パルコ側と協議を進めています。

各候補の考えはー

竹内貴也候補:
「中心市街地のにぎわいを確保する必要があると考えています。そのためには商業施設が必要だというふうに考えていて、行政が一定の関与をしながら、商業施設をしっかりと確保して、将来の駅周辺の開発につなげていきたいと考えています」

菱山晋一候補:
「3億円を20年間投資することで、街がどう変わるのかという答えが何もない。パルコは民間の企業で、撤退すると言っている話なので、そもそもスタートラインとして行政が関わるというところからスタートしていいのかどうかは、もうちょっと議論した方がいいと思う」

臥雲義尚候補:
「歴史的にも地理的にも松本市の中心市街地の中の中心です。その空洞化の期間が長くなる。これは極めて大きな松本市全体にとってのダメージになります。対抗提案が、私が掲げているよりも魅力的なものだとは私は思いません」

赤羽俊太郎候補:
「どういう中心市街地を作っていくかというコンセプトがなかったことが、その問題の原因にあると思っています。その長期計画がないということは、松本市政に共通した課題だと思っています。全体像を決めた上で、その一部としてパルコを考える。その姿勢が必要だと思っています」

上條邦樹候補:
「中心市街地の歩道だとか、自転車駐輪場の整備だとか、そういったことについては積極的にやるべきだと思いますが、民間のビルそのものに市が関与して、公金を支出するようなことは、これは今すぐ中止しなければいけない」

この先4年のかじ取りを、誰に託すのか。

松本市長選挙は17日に投票が行われ、即日開票されます。