中小企業の賃上げに“2つハードル”「大企業に対して値上げしにくい」
ただ、これらは労働組合のある大企業です。では、中小企業はどうなのでしょうか。
東京商工リサーチが2023年12月に中小企業にアンケートを行ったところ…

「賃上げできそうにない」 約18%
賃上げ幅が「去年を下回りそう」 約20%
「去年と同程度になりそう」 約51%
「去年を超えそう」 約11%
第一生命経済研究所・首席エコノミストの永濱利廣さんは、中小企業の賃上げには“2つのハードル”があるといいます。

・儲けに占める人件費の割合が大きい
・デフレマインドの影響も大きい
詳しくどういうことなのか教えてください。

第一生命経済研究所・首席エコノミスト 永濱利廣さん:
まず、儲けに占める人件費の割合は、大企業だと大体50%ぐらいで余裕がありますが、中小企業だと8割ぐらいを既に人件費に配分してますから、なかなか上げるのが難しいというところがあります。
デフレマインドについては、海外の企業がなぜこんなに賃上げできるかというと、海外で稼いでるんですよね。でも中小企業は国内が多いので、そうなるとなかなかデフレマインドの中で儲けにくい。
さらには中小企業は大企業に対して弱いので、なかなか値上げをしにくい。そういうこともあって、やっぱり苦しいのかなと思います。
ホラン千秋キャスター:
このグラフを見ると「賃上げできそうにない」と答えたのが全体の約20%だとすると、上げ幅の大小はあっても8割の企業が賃上げ自体はするという方向なわけですよね。これはどう見るべきなんでしょうか。
永濱さん:
やはり苦しい中でも、中小企業もある程度賃上げをしないと、人材がどんどん出ていってしまうというところで、確保するために苦しいけれども、仕方なく賃上げするという企業が多いと思いますね。
井上博貴キャスター:
もちろん、大手が賃上げして中小企業にいかに波及できるか?ということは大変重要です。
経営者の秋元さんに聞きたいのですが、私が個人的に注目するのが、企業が上げた利益のうち、どのくらいを従業員に還元しているのか。その率を見ると、ちょっと下がっていますよね。つまり、企業は利益に見合った還元をしていないと。
これってもうちょっと上げられないのか?不確実性が高いので、企業や経営者の皆さん、難しいところもあると思うんですけど、賃金が上がっていくとモノが上がって、良いインフレになっていくのかなという気もするんですけど…

食べチョク代表 秋元里奈さん:
やはり中小企業だと人件費の割合が大きいので、それを上げただけで結構、利益幅が減ってしまう。そもそも半分以上赤字という中で言うと、原材料などコストも上がっている中で、どこに投資するか?となると、人件費に投資するというのがなかなか判断しづらいというのは実際あると思います。
ただ、人手不足なので、ある程度人件費をあげていかないと、事業を伸ばすための優秀な人材も確保しづらくなっている実情もあるので、もう上げざるを得ない状況にそろそろなってくるかなと感じています。
井上キャスター:
経営者としては、一旦上げると下げづらいというのがある?
秋元さん:
それはそうですね。上がった基準を下げられないので、慎重になってしまうというところもあると思います。