9人の園児が津波の犠牲に 今も消えぬ後悔 それでもー
遺体安置所で目の当たりにしたのは、ブルーシートに包まれた子ども。毎日見ていた園児の一人でした。
「こんなふうに命を落とすなんて想像できなかった」
他にも行方が分からない子どもがいて、約1か月間、無事を願いながら、町内の約50の避難所をすべて回りました。津波の犠牲になった園児は、合わせて9人でした。いずれも一時避難場所などで保護者に引き渡しをした園児です。
「どれだけ怖かっただろう、ごめんね」
心の中で何度も謝り続け、保育者を辞めることも考えた八木澤さん。「自分たちが連れた子どもたちの命が大丈夫だっただけに、一緒に逃げていれば良かったなという気持ちは、ずっと捨てきれない」。今も後悔が消えることはありません。
それでも、日々園児たちの成長を見つめる中で「失われた幼い命があるからこそ、今を生きる子どもたちに寄り添いたい」と、再び前を向くようになります。

<八木澤弓美子さん>
「途中から折れている場合じゃないなと思い始めたんですよね。応えてあげられなかった子どもたちがたくさんいるから、応えてあげようと思うと、毎日が楽しいし、きょうはどんなこととがあるんだろうと思う」