1500人中、約2割が「高齢受刑者」最高齢は94歳 刑務所で進む「高齢化」

さきに、いま府中刑務所に限らず刑務所が抱える課題として「高齢化」と「処遇改善」の問題があると指摘した。実に府中刑務所でも約2割、300人が高齢の受刑者で、日本人受刑者の最高は94歳だ。受刑者約1500人のうち約7割が精神疾患または身体疾患により医療上の配慮を要するという。
認知症や記憶障害で意思疎通が取りづらくなった人や体力的に作業ができなくなる人もいる。病棟とされる場所では刑務官とともに廊下を歩行器を使って歩いたり、タブレットを使って脳トレのプログラムに取り組む高齢の受刑者の姿を見た。また「機能向上作業」というものもある。第10工場訓練場という場所では3年前から認知機能や身体機能の維持向上をはかるという「作業」に取り組んでいる。作業療法士の方が付き添う様子はさながら介護施設のリハビリのようだ。
去年11月、政府は、刑罰の懲役と禁錮を一本化して「拘禁刑」を創設する改正刑法を来年6月1日に施行することを決めた。法改正により、これまで懲役刑に処された者に科されていた木工や洋裁といった刑務作業が義務でなくなる。その分、立ち直りに向けた指導や教育に時間を割き、高齢者の場合はリハビリにかける時間も増やすことが可能だ。新たな刑罰は刑務所の「高齢化」問題を視野に入れている。