ロシアによるウクライナ侵攻が始まってから、24日で2年となります。戦闘が長期化する中、両国で兵士の確保が難しくなっています。その実態をウクライナ・ロシアで取材しました。

ウクライナ “徴兵逃れ”の実態 強引な動員に非難も

ウクライナ南部のオデーサで撮影された映像には、徴兵担当者が街中で男性に声をかけ、動員しているようなシーンや、嫌がる男性を車に乗せようとしている様子が捉えられていました。こうした動画がSNSで拡散し、非難の声が広がっています。

(SNS動画より)
男性
「何をするんだ」
女性
「やめてください」
当局
「徴兵を拒否しただろ」

さらに今、ウクライナで問題となっているのが「徴兵逃れ」です。国家国境庁のサイトには徴兵逃れを取り締まる映像が多数公開されています。

ウクライナでは総動員令により、18歳から60歳の男性は原則、出国が禁止されていますが、イギリスBBCの調査では、徴兵を逃れるため国外に出た男性は約2万人に上るといいます。

こうしたなか、ウクライナでは国外脱出を斡旋するという業者が増えています。そのうちの1つに電話をかけ、「夫が国外に出る方法はないか」と相談をしてみることにしました。

出国斡旋業者
「お子さんは?」
女性スタッフ
「はい、10か月の小さな子どもがいます」
出国斡旋業者
「親権喪失の決定が得られれば、あなたの夫は国境を越えられます。私たちは合法に処理することを保証します

子どもを1人で育てる男性は動員を免除されることから、斡旋業者は子育て放棄などの理由で母親の親権を失わせた上で、「夫が国外に出る」と提案してきたのです。

こうした状況を現役の兵士はどう受け止めているのでしょうか。

ウクライナ兵 イワンさん
「最前線にいると、多くの仲間の死を目の当たりにし、心を閉じてしまう」

侵攻後から前線で戦ってきたイワンさんに、徴兵逃れについても聞いてみました。

イワンさん
「恐怖で人はどうなってしまうかを知っているので、(徴兵逃れが)良いとも悪いとも言えません。誰もが生きたいのです。危険を感じると、ある人は国や家族を守り、ある人は逃れたくなる」

DJをするほど音楽好きだったイワンさんですが、戦闘中に頭を打った後遺症で記憶力が低下し、音楽を楽しめなくなったといいます。

イワンさん
「100%、戦争が終わるまで兵士であり続けます。何があっても意志は変わりません」