「社会では5000万くらいで査察が動くってことはないんです」

今回試算した税額はキックバックによる裏金が全額、議員の個人所得(雑所得)とみなされた場合だ。キックバック1000万円で納税額(所得税・住民税)500万円。隠蔽・仮想と認定された場合の重加算税は140万円。以下同様に
2000万円の場合、納税1000万円、重加算税280万円。
3000万円の場合、納税1500万円、重加算税420万円。

3年間で1000万円を超える裏金を受け取っていた安倍派の面々。八ツ尾教授はこうも語った…。

「政治資金規正法と税法では法律の緻密さや考え方が全然違う」

これを受けて国会議員は「これは雑所得です」なんて言うわけがないと語るのは自民党、田村憲久議員だ。

自民党政調会長代行 田村憲久 衆議院議員
「雑所得かどうかは本人が申告するかどうかですけど『これ雑所得ですよ』って言った瞬間に政治資金規正法違反になっちゃうわけですよ。本来、我々政治家は政治団体から寄付を受けてはいけないわけですから。つまり本人が雑所得だっていうことは想定されていない」

田村議員は課税するかしないは税務署が調査していると思うので、それは置いておいて収支報告書に記載漏れがあった場合、不記載の金額が大きい時には何らかのペナルティを設けるべきだと語った。
一方、東京地検特捜部で検事として税金事件を取り扱ったこともあり、元国会議員でもある若狭勝弁護士は、国会議員の特別扱いに国民が不満を抱く気持ちは理解できるとした上で、この程度の金額で国税の査察が入ったら民間に類が及ぶと話す。

元東京地検特捜部 若狭勝 弁護士
「キックバック、イコール雑所得、だから課税すべきということで全部徹底してしまうと全体の法体系にぐらつきが出てきちゃう感じが…。例えば今回、国税の査察が…。雑所得で5000万くらい申告してなかったってことを刑事事件としてやるようになったとした場合には…。実際今世の中の社会では5000万くらいで査察が動くってことはないんですよ。1億円以上。所得(収入)のごまかしが1億円くらいになると査察が動いて刑事事件になる。個人の場合ですよ…。今回、世論が凄いから5000万くらいで査察が動いたとすると、今後民間はどうなの…。民間で5000万(の所得隠し)くらいで査察が動いて逮捕ってなったら、結構世の中に波及が大きい…」