「国会議員の場合、見える圧力、見えない圧力というもの」
今回も大山鳴動して、国税動かず…なのか?
かつて国税は大物議員を脱税で逮捕している。元国税庁、野村興児氏。31年前、あの金丸事件を告発した人物だ。今回初めて、カメラの前であの事件の当時を語った。

元国税庁調査査察部長 野村興児氏
「企業が政治家に献金するということが色濃く残っていた時代であります。金丸事件というのは30億余りの政治献金が長年にわたり割引債券で運用されながら蓄積されていた案件であります。政治資金だという主張もありましたが、長年にわたる蓄財と割引債という形での運用。こういったことを考えると明らかに所得である。従って所得税法違反で告発が行われました」
この件では隠し部屋から債権と金の延べ棒という物証が出たため罪を立証できた。
30年を経て再び持ち上がった政治家の税問題。“政治資金”か“所得”か簡単には立証できないのが実情だ。
元国税庁調査査察部長 野村興児氏
「いろんな状況とか事情が揃わないと所得税という形には結びつかない。(中略)政治資金規正法が本来の機能を果たしうるように法の整備。抜け道がないように整理されることが本質だろうと思います」
今回調査が進むとすれば担当部署は『課税部資料調査課』“リョウチョウ”と呼ばれる組織だ。かつてそのリョウチョウに所属していた税理士の佐藤弘幸氏は、国会議員を税法で追い詰めるのは至難の業だという。

税理士 佐藤弘幸氏
「国会議員の場合、見える圧力、見えない圧力というものがある。調査した結果“シロ”だった場合、調査した側に非があるとか…。簡単には調査できない。(中略~今回は)脱税というかは別として申告漏れは間違いないので、所得税の課税はするべき。課税すべき調査した場合でも課税できる案件だと思う。しかし、収支報告書を修正されてしまうと政治資金という沼の方へ行ってしまう。わかりやすく言うとサンクチュアリ(聖域)誰もなかなか手を出せない領域に行ってしまう」
佐藤氏は、裏金の課税問題を解決する策として、政治資金の定義を法令で明記することと、収支報告書の所管を総務省から国税庁に変え、定期的に調査することだと語った。ここまでしないと国民は納得できないということを政治家の方々は分かっているのか…通常国会での議論を注目したい。
(BS-TBS『報道1930』2月20日放送より)