(ブルームバーグ):ハッキングで約5500万ドル(約86億1000万円)の暗号資産(仮想通貨)を盗み、その一部を「ポケモン」や「マジック:ザ・ギャザリング」の希少なトレーディングカードの購入に充てたとして起訴された被告の公判が始まった。
米メリーランド州在住のサイバーセキュリティーコンサルタント、ジョナサン・スパレッタ被告は、暗号資産交換業者ウラニウム・ファイナンスに対する2021年のハッキング2件を巡り、今年3月に起訴された。ウラニウムはこれが原因で閉鎖に追い込まれたとされる。マンハッタンの連邦地裁で28日、冒頭陳述が始まった。無罪を主張する被告は、最も重い罪で有罪となれば最高20年の禁錮刑となる可能性がある。
ショーン・ワーベロウ連邦検事は陪審に対し、スパレッタ被告が「暗号資産プラットフォーム全体を破壊し、5000万ドルを盗んだ上で、その資金を洗浄する計画を立てた」と主張した。
一方、弁護人のシュレイ・シャルマ氏は、スパレッタ被告がウラニウムとやりとりした事実は認めたものの、ハッキング行為は否定。偽造した認証情報や不正コードを使ったアクセス制御の回避は行っていないと主張した。
シャルマ氏によれば、被告が利用したのは、ウラニウムのスマートコントラクト(あらかじめ定められた条件が満たされると取引が自動執行されるコンピュータープログラム)に組み込まれた、一般公開の機能に過ぎない。
この事件が注目を集める理由となっているのが、スパレッタ被告がハッキングで得た資金で購入したとされる収集品だ。当局は同被告の自宅から、マジック:ザ・ギャザリングとポケモンの希少カード300万ドル相当超を押収した。こうしたカードは高額なため、犯罪の標的になるケースが増えている。
また、ユリウス・カエサル暗殺を題材にしたローマ硬貨に60万ドル超を費やしたほか、ライト兄弟が製作した最初の飛行機の布片を13万7500ドルで購入したとされる。この布片は、宇宙飛行士ニール・アームストロング氏が月に持参したものだった。当局はこれらの収集品とともに、3100万ドル相当の暗号資産も押収した。
シャルマ氏は、収集品を購入する資金を得る目的でスパレッタ被告がウラニウムをハッキングしたとする検察側の見方に反論。収集品の購入を始めたのは23年だと指摘した。「ウラニウム・ファイナンスから得た暗号資産と、これらの購入に使われた暗号資産が同じものだという証拠はない」と述べた。
暗号資産業界では最近、ハッキング被害が相次いでいる。伝統的な金融への浸透が進む一方、ハッキングは依然として根強い脅威となっている。暗号資産交換業者ビットゲットは25日、ハッカーに約3億5700万ドルを盗まれたと公表。その数週間前には、暗号資産ビットコインのサイドチェーン「リキッド・ネットワーク」も約3億2000万ドルの盗難を明らかにしていた。
検察によると、スパレッタ被告は最初のハッキングで、一連の取引を使ってウラニウムを欺き、本来受け取れる額を超える報酬を支払わせた。ウラニウムは、流動性プールに暗号資産を預け入れた利用者にボーナスを付与していた。被告はこの取引を繰り返し、報酬プールの全額を引き出したとされる。当時の価値で約140万ドル相当の暗号資産を得たと検察は主張している。
原題:Pokemon Fan Charged With $55 Million Crypto Hack Goes on Trial(抜粋)
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