(ブルームバーグ):日本が世界的な債券売りに影響を与えているのは確かだが、それはキャリー取引の資金フローを通じたものではなく、日本国債利回りの水準上昇を通じて波及しているとドイツ証券は指摘した。
ドイツ証券の大森翔央輝チーフ債券ストラテジストは電子メールで、キャリー取引の巻き戻しでは、仕組み上は円買いとなり、市場には毎回同じような動きが表れると指摘。円相場が急伸し、投機家の円売りポジションが急減し、株価が下落するが、米国債は通常、安全資産としての買いがポジション解消に伴う売りを上回り、価格が上昇するとしたうえで、足元の動きはこれと逆だと述べた。
実際、21日の週には10年物米国債利回りが20ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)超上昇し、24日に5.21%となった。30年債利回りも5.5%に達した。一方、円相場は上昇ではなく下落し、24日には1ドル=159円4銭まで円安・ドル高が進んだ。その後、日本の当局が為替介入を改めて示唆したことを受け、25日には約1%上昇した。
大森氏は、債券と円が同時に下落したとし、これはデレバレッジではなく、インフレと金利のリプライシングでみられる動きだと分析した。
資金フローも同様の状況を示している。財務省の週次データによると、国内投資家の対外中長期債投資は8月下旬に約2兆8000億円の売り越しとなった後、9月12日までの2週間は買い越しとなった。9月6-12日の週は買い越しが約1兆1000億円に達した。一方、海外投資家による対内中長期債投資は4週連続の買い越しで、9月12日までの週だけで約2兆2000億円に達した。
大森氏は、これは海外資金が日本国債に流入し、日本の資金が再び海外に向かっていることを意味するとしたうえで、レパトリ(資金還流)とは逆の動きだと指摘した。
ドル・円のキャリー取引の規模についても、2024年の約半分に縮小しており、レバレッジを活用する投資家層もそれに伴って小さくなったと言及した。
今回の債券売りの主因は、エネルギーショックを背景に主要中央銀行が同時に利上げへ動いていることだ。これにタームプレミアム上昇のリスクも加わる。米連邦準備制度理事会(FRB)と日銀が2日違いで政策決定を行うほか、欧州中央銀行(ECB)の12月利上げが市場のコンセンサスとなっていることなどが背景にあるという。
大森氏は、日本の影響は確かにあるが、それはキャリー取引の資金フローではなく、日本国債利回りの水準を通じて波及していると指摘。10年物日本国債利回りが3.1%になれば、世界で残っていた最後の低利回りの支えがなくなるとの見方を示した。
さらに、キャリー取引の巻き戻しが要因になるのは、円が無秩序に急騰した場合に限られるとした。
原題:Rate Hikes, Not Yen-Carry Unwind, are Worsening Bond Selloff: DB(抜粋)
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