企業買収で世界的に知られるPAGとウォーバーグ・ピンカスは、中国への投資姿勢を一段と強めている。資金調達コストの低下や企業評価額のギャップによって新たな投資機会が生まれていることが理由だ。両社の幹部が明らかにした。

ニューヨークに本社を置くウォーバーグ・ピンカスのジェフリー・パールマン最高経営責任者(CEO)はシンガポールで今週開かれた会議で、中国は長期にわたって低金利を維持するという日本と似た政策路線をたどる可能性があり、中国市場への投資を縮小したり、注力を弱めたりするのは誤りだと指摘した。

「中国は日本のやり方をある程度取り入れ、金利は今後も低水準にとどまるだろう」とパールマン氏は述べ、「これは実際、バイアウト投資にはかなり資する」との見方を示した。

中国市場の混乱によって、投資会社は業界トップクラスの企業をより魅力的なバリュエーションで買収できるほか、買収後の企業再編に時間をかけることもできる。

香港を本拠とするPAGのパートナーでプライベートエクイティー(未公開株、PE)共同責任者のニキル・スリバスタバ氏によると、これにより市況が回復した際にはバリュエーション上昇による恩恵を受けられる態勢を整えられる。

企業の合併・買収(M&A)を手がける投資会社は、借り入れコストの低下により、買収額の最大70%を総コスト約4%で借り入れて賄うことで、20-25%のキャッシュリターンを生み出すことが可能だという。スリバスタバ氏は、これによって投じた自己資金に対するリターンが増幅されると説明し、中国は「まだ難局を完全に脱したわけではない」ものの、人民元の値上がりを含む幾つかの動きが追い風になっていると語った。

スリバスタバ氏は「人民元がドルに対して上昇しているため、経済が成長しないシナリオでも、実質的にPE投資並みのリターンを生み出せる」と話した。PAGはアジア最大級のバイアウト投資会社で、運用資産は600億ドル(約9兆4000億円)を超える。

M&A投資の基準

世界の多くのバイアウト投資会社はここ数年、中国への投資を縮小してきた。海外の出資者が、経済成長の鈍化や長引く不動産不況、地政学的リスクの高まりへの警戒を強めたためだ。

米国による対外投資規制も新たな不確実性をもたらし、センシティブなテクノロジーに関わる中国企業への一部投資を制限している。それでも2025年後半には中国株が反発し、信頼感が回復。投資会社が中国市場を改めて見直す動きにつながるなど、投資家心理に変化が見え始めた。

約1050億ドルを運用するウォーバーグ・ピンカスのパールマン氏は「欠けていた重要なエレメントは、適正な水準へのバリュエーション修正だった。それも起き始めたと思う。この環境を引き続きうまく活用していく必要がある」と述べた。

ウォーバーグ・ピンカスは自社の中国M&A担当者に対し、投資を決定する前に満たすべき一連の基準を設けている。案件が政府の長期政策に沿っていることや、価値創出を進めるのに十分な経営支配権を確保できること、そして海外投資家の回帰に頼ることなく、国内の買い手や戦略的買い手への売却という確かな出口戦略を確保できることだ。

パールマン氏によれば、最後の条件を満たすにはさらに時間を要する可能性がある。「2年かかるかもしれないし、5年かかるかもしれない」というのが同氏の見立てだ。

原題:Warburg, PAG Lean Harder Into China Amid Cheaper Financing(抜粋)

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