(ブルームバーグ):米コンサルティング会社マッキンゼー・アンド・カンパニーのシニアパートナーが、女性リーダーが職場で直面する「ガラスの崖」に疑問を呈するコメントを投稿し、同社から非難された。
オーストラリアを拠点とするシニアパートナー、クリス・ブラッドリー氏は、「ガラスの崖」を取り上げた新著の著者の1人とオンライン上でやり取りする中で、この概念について「雨の中で常に被害者でいるための、とても都合のいい方法だ」と述べ、この現象が実際に存在するのか、広く疑問を呈した。
「ガラスの崖」は、企業が危機に陥っている局面で、最高経営責任者(CEO)の職に女性が抜擢されがちな現象を表す、研究者らが作った言葉だ。マッキンゼーは、ブラッドリー氏の発言について「失望している」とし、見解を支持しないと表明した。
マッキンゼーの広報は「今回のやり取りは、当社の見解や、当社が求める基準にそぐわないものだった。コメントは個人の立場で行われたもので、その後削除された。当社は、これらのテーマに関する自社の研究とリーダーシップを引き続き支持している」とのコメントを発表した。
ブラッドリー氏はマッキンゼーのビジネス・経済研究部門、マッキンゼー・グローバル・インスティテュート(MGI)のディレクターの1人でもある。

「意図的な無知」
ブラッドリー氏はリンクトインでのやり取りで、「かつては女性がCEOに昇進できないという問題があったが、今度は、女性が就く仕事が難し過ぎることが新たな問題なのか。これは本当に存在する問題なのか」と書いた。
ガラスの崖に関する書籍「Walking on Broken Glass: Navigating the Aftermath of the Glass Ceiling」の共著者、ジュリア・カレオン氏は、自身のリンクトインへのコメントで、ブラッドリー氏の発言に反論した。これに対しブラッドリー氏は、「『ガラスの崖』について調査を始めるつもりはない。世界が抱える問題の上位1000にも入らないと思うからだ」と述べた。
カレオン氏は、ブラッドリー氏が「意図的な無知」を示していると非難した。
マッキンゼーは長年にわたり、女性が職場で直面する課題を巡る議論の促進に取り組んできた。同社は、メタ・プラットフォームズ元COOのシェリル・サンドバーグ氏の女性支援団体「LeanIn(リーンイン)」と共同でまとめた「職場の女性調査」を10年以上にわたり公表している。
124組織の従業員約9500人を対象とする同調査では、参加者から一貫して、女性リーダーは男性より強い抵抗に直面し、判断に疑問を呈される可能性も高いとの回答が寄せられている。医療分野で働く女性についてまとめたマッキンゼーの2020年のリポートでは、有色人種の女性が挙げた障壁を説明する際に「ガラスの崖」という言葉に言及している。
ブラッドリー氏は、コメントの要請に応じなかった。カレオン氏は28日、電子メールで「これがブラッドリー氏とマッキンゼーにとって学びの機会になることを願っている。女性は、職場で自分たちに起きていることは現実ではないと言われることに、もううんざりしている」とコメントした。
シティグループでウェルスマネジメント部門の幹部を務めていたカレオン氏は今年、同行の最高幹部の1人からセクハラを受けたとして提訴した。シティグループはこの訴訟について「根拠がない」としている。カレオン氏は2024年に同行を退社した。
男女で認識に差
「ガラスの崖」理論の支持者は、企業が危機的状況や再建局面にあるとき、女性がCEOに就く機会を得る可能性が高いと主張している。コールズのミシェル・ガス氏やヤフーのマリッサ・メイヤー氏、CVSヘルスのカレン・リンチ氏などが例に挙げられる。
企業幹部の交代を追跡し、その退任が強制的だった可能性と自発的だった可能性を評価した調査会社エクスチェンジによると、過去10年間でラッセル3000指数構成企業の女性CEOの平均在任期間は6.2年で、男性の8.9年を下回った。同じ期間のCEO退任の理由を調べたところ、女性は男性より退任を強いられる可能性が高かったという。S&P500種株価指数の構成企業で、女性がCEOを務めているのは10社に1社だけだ。
オーストラリア国立大学の社会・組織心理学の教授で、2005年に「ガラスの崖」という言葉を生み出した研究者の1人、ミシェル・ライアン氏は、自身の研究から、男性と女性ではこの概念の受け止め方が大きく異なると指摘する。
ライアン氏は、「女性はこの現象を認識し、悪意のあるものと解釈する一方、男性はこの現象の存在を否定したり、実際よりはるかに害のないものとして軽視したりする傾向が強い」と述べた。
マッキンゼーによると、ブラッドリー氏は同社に20年以上勤務している。著書の共著やマッキンゼー・グローバル・インスティテュートでの役割に加え、以前にはアジア地域で同社の戦略・コーポレートファイナンス部門を率いていた。また、ウェブサイトによると、女性のエンパワーメントに重点を置くマイクロファイナンス団体「オポチュニティー・インターナショナル・オーストラリア」の理事も務める。
原題:McKinsey Partner’s Online Comments on Women CEOs Spark Rebuke(抜粋)
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