米イーライリリーのデーブ・リックス最高経営責任者(CEO)は、リリーが科学分野の「未開拓領域」で幅広く買収候補を探すなか、従来よりやや大型の合併・買収(M&A)が増えるとの見通しを示した。英センテッサ・ファーマシューティカルズを78億ドル(約1兆2300億円)で買収した案件を一例に挙げた。

いまや世界最大の製薬会社となったリリーは、肥満症・糖尿病治療薬で得た資金を、次の成長を支える可能性のある新分野に振り向け、過去最大規模の投資を続けている。

糖尿病治療薬「マンジャロ」と肥満症治療薬「ゼップバウンド」の注射薬、肥満症治療薬の錠剤「Foundayo」が寄与する形で、今年の売上高は880億ドルと、2年前のほぼ2倍になる見通しだ。一方、製薬業界は巨額の研究費と開発リスクを負いながら、投資を回収できる販売期間は短いという厳しい事業サイクルだ。リックス氏は、かつての業界首位企業が陥った売り上げ低迷を避けるため、早めに手を打つ考えだ。

リックス氏はミラノで開かれた欧州糖尿病学会の会合に際したブルームバーグとのインタビューで、財務面から製薬会社を買収に駆り立てるような「時間的な切迫感はない」と述べた。「われわれはこれを空腹時の買い物と呼んでいる。判断を誤ることがある」と語った。

リックス氏は、リリーが存在感を高められる分野として、感染症、女性の健康、精神疾患を挙げた。リリーは今年これまでにワクチンメーカー3社を最大38億ドルで買収。最近ではサイケデリックス(精神展開剤)を手がける米バイオ医薬品企業アタイベックリーをほぼ同規模で買収することで合意した。

こうした案件は、リリーのM&Aが「やや大型化」している例で、今後も増えるとリックス氏は述べた。新たな医療課題に対応するものなら、開発がより進んだ段階の資産も買収対象にするという。

マンジャロとゼップバウンドは特許保護期間があと約10年ある。リリーは従来、価格が比較的安い開発初期の医薬品を主な買収対象としてきた。リックス氏は、重要な臨床試験結果が出る前で、競争入札が始まる前の段階で投資するのが望ましいとした。

「まだ十分にそろっていないデータを見て、企業価値が50億ドルに達するずっと前に投資するのがわれわれのやり方だ」としたうえで、「企業価値が5億ドルの段階だ。賢明な投資を積み重ねれば、成果につながる」と語った。

リックス氏によると、リリーは今年これまでに約40件のM&Aを実施した。総額は200億ドルを超え、ブルームバーグがまとめたデータによると、リリーとして過去最高となっている。

原題:Lilly CEO Eyes Bigger Deals in Pharma’s ‘White Spaces’ (1)(抜粋)

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