(ブルームバーグ):ウォール街のベテランで長年のマーケット・ウオッチャーであるきたジム・ビアンコ氏は、指標となる米国債利回りが約20年ぶりの高水準に急上昇し、魅力的な投資機会が生まれたとして、6年ぶりに米国債への強気姿勢に転じている。
シカゴに拠点を置くビアンコ・リサーチの社長兼創業者であるビアンコ氏は、「これは割安さに着目した投資だ」と述べ、「利回りがさらに上昇し始めれば、引き続き買い増していく」と語った。
債券に対する投資家心理はここ数週間で急速に悪化している。エネルギー価格の急騰、慢性的な財政赤字、根強いインフレ、底堅い米経済、AIブームを支える巨額のテクノロジー投資など、複数の要因が重なっていることが背景にある。
28日には原油相場の上昇を受け、米連邦準備制度が利上げを続けるとの見方をトレーダーが強めたことで、米10年債利回りは5.27%と2007年以来の高水準に急上昇した。債券の売りはさらに続く可能性はあるものの、大半の年限で利回りが5%を上回っていることから、債券保有のリスク・リターンは一段と魅力的になっているとビアンコ氏は話す。
このためビアンコ氏は、自ら運用を監督し、ウィズダムツリーの上場投資信託(ETF)「ウィズダムツリー・ビアンコ・トータル・リターン・ファンド」の基礎となるアクティブ運用型指数で、金利リスクへのエクスポージャー、すなわちデュレーションを引き上げた。同指数のデュレーションは6年超に伸び、ブルームバーグ米国総合債券指数の5.7年を上回っている。
ビアンコ氏は「今は誰もが債券市場に途方もないほど弱気だ」と指摘した上で、「5.2%で債券を買えば、かなり大きなクッションが得られる。今はこれで取り乱すような時ではない」とコメントした。

ビアンコ氏はファースト・ボストンやUBSでの勤務を含む40年超のキャリアを持ち、1998年にビアンコ・リサーチを創業した。同氏は、新型コロナウイルス禍が最も深刻だった2020年に米10年債利回りが過去最低の0.3%を付けて以来、債券市場に弱気だったと述べた。だが現在は利回りの上昇に伴い、債券投資の採算が改善している。
ブルームバーグがまとめたデータによると、現在の水準で10年債を購入した投資家の場合、今後1年間で利回りが6%前後まで上昇しなければ、価格下落による損失が債券の利息収入を相殺することはない。リターンの特性も非対称だ。利回りが1ポイント上昇した場合の損失は2%未満にとどまる一方、同じ幅だけ低下すれば約13%のリターンが得られる。

現在の環境について、ビアンコ氏は積極的に大きな賭けに出るのではなく、徐々に投資比率を引き上げる好機だとみている。同氏の見方は、23年に立ち上げたアクティブ運用型債券指数に連動する運用資産1億ドル(約157億円)のウィズダムツリー・ビアンコ・トータル・リターン・ファンドにも反映されている。
同指数の23年12月以降の年率リターンは2.6%で、ブルームバーグのベンチマークの2.32%を上回っている。経費率が0.6%のウィズダムツリーのETFのリターンは約2.1%となっている。ビアンコ氏は「まずは少しずつ投資している」と話した。

ビアンコ氏は、連邦準備制度がインフレ抑制を目指し、タカ派姿勢を一段と強めていることを最近の重要な変化の一つとみている。昨年は連邦準備制度が政策金利を引き下げたにもかかわらず、10年債利回りは急上昇した。同氏はこうした動きを金融政策が緩和的過ぎることへの警告と受け止めていた。
ビアンコ氏は「この2年間、市場は連邦準備制度に対し『政策が間違っている』と叫び続けてきた」との見方を示した。

ウォーシュ連邦準備制度理事会(FRB)議長率いる米金融当局は今月、23年以来の利上げに踏み切り、追加利上げを示唆した。金利スワップ市場では、トレーダーが今後1年間で0.25ポイントの利上げを4回近く織り込んでおり、実現すれば政策金利は5%前後に上昇することになる。
ビアンコ氏は利回りの上昇について、一段と長期的な視点から、経済の苦境を示すというより、歴史的に見て正常な水準に回帰する動きだと捉えている。予想を上回る強さを示す製造業の景況感調査や、過去最高値付近で推移する株価をその根拠に挙げた。同氏によると、10年債利回りは1981年にピークを付けて以降、平均では約5.3%と、現在の水準とほぼ同じだ。
ビアンコ氏は、「われわれは正常な状態に戻りつつある」とし、「2010-20年のゼロ金利こそ、極端な例外だった」と語った。
原題:Bond Veteran Jim Bianco Turns Bullish for First Time Since 2020(抜粋)
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