(ブルームバーグ):米AI開発企業アンソロピックのダリオ・アモデイ最高経営責任者(CEO)は27日夜、トランプ大統領と夕食を共にする予定だ。AIの安全性を巡る議論で対極に位置する2人が顔を合わせることになる。
アンソロピックのトップと政権との関係が数カ月にわたりぎくしゃくする中、今回の夕食会はアモデイ氏とトランプ氏が非公開で1対1の会談を行う初めての機会となる。両者の緊張は今年初め、国防総省との契約を巡る激しい対立で表面化し、6月に商務省がアンソロピックの画期的なAIモデル「Mythos(ミュトス)」に一時的に輸出規制を課したことで一段と深まった。
トランプ氏は27日、AIの新モデルの開発ペースを落とすよう求めたアモデイ氏の最近の主張について話し合う考えを示した。シカゴ近郊で開かれたゴルフトーナメントの会場で記者に対し、「それについて話すつもりだ」と述べ、「私は『前に進んで勝とう』という立場だ」と語った。
またAIの潜在力については、「実際、インターネットよりも大きな存在だ。われわれが先頭を走っており、何兆ドルもの施設を建設している。それをなぜ手放す必要があるのか」と話した。
夕食会については、非公開の予定であることを理由に複数の関係者も匿名で確認。米ニュースサイトのアクシオスが先に報じていた。アンソロピックとホワイトハウスの報道担当者は、コメントの要請に直ちに応じなかった。
今回の会談は、最先端のAIモデルによる注目度の高いセキュリティー侵害が相次ぎ、AIの安全性を巡る世界的な懸念が高まる中で行われる。アンソロピックの競合OpenAIは先週、同社のモデルが今年初めにオーストラリア政府のウェブサイトに不正侵入していたことを明らかにした。こうした事例を受け、米議員やテクノロジー業界の多くから新たなAI基準を求める声が強まっている。
アモデイ氏とトランプ氏は、AIがもたらす脅威について大きく異なる立場を示してきた。アモデイ氏は9月12日、AIが人類の存続にもたらすリスクを警告し、規制強化を求めるエッセーを発表し、AIの安全性を巡る議論を広く一般に浸透させた。また、最先端モデルの開発ペースを落とすと表明し、OpenAIのサム・アルトマンCEOとSpaceXAI創業者のイーロン・マスク氏もこれに賛同した。
一方、トランプ氏はこうした破滅的な懸念を「でっち上げ」とし、AIを巡る国際協調の強化を求める声を「グローバリストの陰謀」として退けている。アモデイ氏のエッセー発表後、トランプ氏はAI開発の減速に反対する一連の投稿をSNSに掲載し、そのうち1件ではアモデイ氏を名指しした。こうした意見の対立により、27日の夕食会の重要性は大きく増している。
アンソロピックと政権の摩擦をうかがわせる動きとして、アモデイ氏は、訪米した中国の習近平国家主席を歓迎するためホワイトハウスで開かれた公式夕食会を欠席したシリコンバレーの著名CEOの数少ない1人だった。出席者にはアルトマン氏とマスク氏のほか、AI業界の成長を支える半導体を手掛けるエヌビディアのジェンスン・フアンCEOも含まれていた。
安全対策の強化を求める動きが広がる一方、トランプ氏と政権高官は、AI開発を遅らせるような措置には反対するとの立場を堅持している。トランプ氏はAIを自身の経済政策の中核に据え、米国が中国に対する優位を維持する必要があると主張している。トランプ氏と側近らは、新たな規制を設ける代わりに、各企業が自ら提供する技術について個別に責任を負うべきだとの考えを示している。
原題:Anthropic CEO Amodei to Meet Trump as AI Safety Fears Rise (1)(抜粋)
(9、10段落に背景を追加して更新します)
--取材協力:Shirin Ghaffary.
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