トランプ米大統領は、23日にワシントン入りした中国の習近平国家主席を国賓として迎え手厚くもてなした。世界1、2位の経済大国を率いる2人の顔合わせは、華やかな演出や美辞麗句が目立つ。だが、首脳会談に関する実質的な発表は乏しく、一連の行事ではトランプ氏が予想外の行動をし、個人的な不満を口にする場面も見受けられた。

米東部時間24日夜までの時点で、今回の首脳会談に関連する最も重要なニュースは、会談が始まる前にすでに発表されていた。習氏の専用機が着陸したのとほぼ同時に、ベッセント米財務長官が、米中両国が貿易休戦をさらに2カ月延長したと明らかにした。

期待されていた関税引き下げや、AIを巡る新たな意思疎通の枠組みに関する合意はまだ発表されていない。25日の香港市場では中国株が下落し、トレーダーが進展の乏しさを意識したことを示唆した。

24日の首脳会談後にホワイトハウスで開かれた夕食会には、米国のテクノロジー界や金融界の大物が出席。3品のコース料理が振る舞われた。トランプ氏は米国の象徴であるハクトウワシの像を習氏に贈り、自身と習氏の関係について「これほど良好だったことはない」と述べた。

トランプ氏はその後、予定外とみられる行動に出た。自身が進めるホワイトハウスのボールルーム建設現場の見学に夕食会の出席者を招いた。習氏は夕食会の乾杯のあいさつで、歴史的な緊張を覆い隠すような、米中関係の輪郭をぼかした歴史観を披露した。

両首脳の間に、解決すべき対立案件がなかったわけではない。首脳会談に先立つ数カ月間、中国は米国の国内外で、米国の立場を損なう行動を取っているとの非難を受けてきた。

トランプ氏は7月のゴールデンタイムの演説で、中国が「史上最大規模の選挙データ侵害」を行ったと主張した。兵器査察官は、イエメンの親イラン武装組織フーシ派がイエメンで兵器を製造する際、中国から輸送された部品を使用していた証拠を発見した。中国は引き続きイラン産原油を購入しているほか、香港に輸送されたF35ステルス戦闘機の部品を経緯が不明なまま留め置いている。

しかし、トランプ氏はこの日を通じ、AIを巡る競争が激化し、貿易でも隔たりがあるにもかかわらず、習氏を米最大の地政学的ライバルではなく友人として繰り返し位置付けた。

ホワイトハウスで約3時間にわたる一連の行事が始まると、トランプ氏は習氏との「真に素晴らしい友情」をたたえ、「われわれが成し遂げられることは多い」と語った。ただ、主要な対立点について、今回の首脳会談で打開策が得られるとの期待は、会談前から低かった。

中国有利

習氏はそれほど熱のこもった表現を使わず、政策目標に重点を置いた。その中には、AIが「人間のコントロール下」にとどまるよう、さらなる協力を検討するようトランプ氏に促したことも含まれる。トランプ氏は、AIが脅威をもたらすとの考えを退けている。

「中国は扉を大きく開き、中国への投資や事業展開を望む米企業を歓迎している。ここ米国でも中国企業が公平に扱われることを望む」と習氏は述べた。

中国政府によると、習氏は台湾を巡る米政府の長年の立場を変更するようトランプ氏に迫った。ホワイトハウスは会談について独自の公式説明をまだ公表していない。

これまでのところ、今回の首脳会談は習氏にとって有利な展開となっている。昨年の米中貿易戦争以降、米国側の交渉力を取り戻すのに苦しんできたトランプ氏から、習氏は温かい歓迎を受けた。両首脳は習氏がワシントンを出発する前の25日、茶会にそろって参加し、米国立公文書館を見学する予定だ。

様変わり

ホワイトハウスではこのほか、トランプ氏の政権復帰2年目を特徴付けてきた数々の論争や、本筋から外れた出来事も表面化した。

米主要テレビ局はいずれも両首脳の会談を生中継しなかった。通常なら、こうした首脳会談はテレビ放送を大きく占めるところだが、トランプ氏がCNNとMS NOW、ポリティコをホワイトハウスから締め出して以降、各局はトランプ氏の映像放送をおおむね見送っている。

これら報道機関は、締め出しが憲法上の権利を侵害しているとして訴訟を起こした後、連邦地裁判事の命令によって取材を再び認められた。

テレビへの関心が強いトランプ氏は、映像が放送されなかったことへの不満をソーシャルメディアに投稿。各メディアが「見事」な首脳会談の映像を放送しなかったのは、「『トランプ』の功績だと認めたくなかった」からだと非難した。映像を放送しなかった局には、トランプ氏に好意的なFOXニュースも含まれていた。

トランプ氏はまた、ホワイトハウスの歴史ある列柱廊に自身が設置した金色の額縁に入った歴代大統領の写真を習氏に見せながら、バイデン前大統領をやゆした。バイデン氏の写真が置かれるはずの場所には、自動署名機の写真が飾られている。批判する側からは、こうした措置は不適切との声が上がった。

会談後、トランプ氏は南庭に設置した石造りのヘリポートを習氏に見せた。トランプ氏は習氏について「良質な御影石が大好きだ」とも語った。

さらに、トランプ氏は習氏を大統領専用ヘリコプターの機内にも案内した。午後の日程が途切れた時間帯には、ボールルームの工事を進める建設作業員の重機の音が遠くから響いていた。

習氏が前回、2015年に国賓として訪米した際との違いは際立っている。当時のオバマ大統領は習氏と記者会見を開き、両首脳の議題を一つ一つ丁寧に説明した。オバマ氏は、その中には人権を巡る「率直な議論」も含まれていたと明らかにした。

トランプ氏は24日、人権問題には言及せず、収監されている香港の民主活動家、黎智英(ジミー・ライ)氏について記者らが投げかけた質問にも答えなかった。

トランプ氏の第1次政権では、中国による知的財産窃取の疑惑に対処する計画や、現在の貿易休戦より幅広い問題を対象とする広範な貿易協定の策定に政権チームが取り組んだ。

トランプ氏は2020年、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大を巡って中国を非難し、「中国ウイルス」と呼んだ。今回は今年5月に北京を訪問した際に受けた厚遇を巡って習氏を称賛し、ワシントンでも同様に手厚く歓待している。

トランプ氏と同じ共和党の一部議員は同氏の対応について、2024年の大統領選で示していた対中強硬姿勢の公約を損なうものだと批判している。「大統領は反中国政策を掲げて選挙戦を戦った」とノースカロライナ州選出のトム・ティリス上院議員は指摘。

「MAGA(アメリカを再び偉大に)の集会を見てみればいい。中国に立ち向かうと言ったとき、皆が歓声を上げていた」

原題:Trump-Xi Summit Goes Big on Pomp But Small on Substance(抜粋)

--取材協力:Jeff Mason、Hadriana Lowenkron、Nectar Gan、Jonathan Tamari.

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