(ブルームバーグ):米マサチューセッツ州で自宅を128万ドル(約2億円)で売りに出したアルトン・ブラッドショーさんは、1週間もたたないうちに2度の値下げに踏み切った。
最初のオープンハウスを訪れたのが、近隣住民を含めわずか2人だったため、価格を7万6000ドル引き下げた。その後、米金融政策当局が3年ぶりに利上げした日には、さらに6万ドル値下げした。
ブラッドショーさんによると、問題は25万ドルをかけて改修した住宅そのものではない。7%前後で推移する住宅ローン金利だ。「本当に、家は申し分ない状態だ」と話す。
米住宅市場を巡る焦点は、金利がいつ下がるのかから、さらに上昇したらどうなるのかへと移っている。フレディマック(米連邦住宅貸付抵当公社)によると、住宅ローンの30年物固定金利は7%を上回った。全米不動産業者協会(NAR)のチーフエコノミスト、ローレンス・ユン氏は、買い手も売り手もこれを「新たな常態」として受け入れるべきだと話す。

住宅ローン金利は1980年代の2桁水準には遠く及ばないものの、住宅購入をためらわせる要因は増えている。過去最高の住宅価格と保有コストに、AIを背景とする雇用不安が重なる。根強いインフレやエネルギー価格の上昇、政府の借り入れ、イラン戦争も金利低下への期待を遠のかせている。
ペンシルベニア大学ウォートン校の不動産学教授、スーザン・ワクター氏は「残念ながら、ここでは住宅市場が犠牲になっている」と語った。
売り手への圧力はすでに強まっている。8月に売り出されていた住宅のほぼ5戸に1戸が値下げされ、不動産仲介会社レッドフィンの2020年以降のデータでは、8月として過去最高の割合となった。同月に成立した売買の45%では、売り手側が何らかの譲歩を行った。
住宅が市場に出てから売れるまでの日数の中央値は50日と、金利が8%に近づいていた約3年前の36日から伸びた。売り出し中の住宅は150万戸と2023年から46%増えており、買い手の交渉余地が広がっている。
影響には地域差もある。新型コロナのパンデミック時に住宅市場が活況を呈したデンバーやオースティンなどでは、転入者の増加ペース鈍化と新築住宅の供給過剰が価格を圧迫している。一方、AIブームに沸くシリコンバレーなど住宅不足が続く地域では、買い手が値下がりを待つ余裕は比較的小さい。
その週末、ブラッドショーさんの住宅には6組ほどが訪れた。前週よりは増えたものの、購入の申し込みは1件もなかった。
原題:Mortgage Rates at 7% Are Forcing Home Sellers to Slash Prices (1)
(抜粋)
--取材協力:Michael Sasso.もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
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