(ブルームバーグ):米南部テキサス州のアボット知事(共和党)は、データセンター開発の急拡大を抑える取り組みを一段と強化した。データセンターに対する反発が強まる中、新たな許認可を一時停止するよう命じた。
アボット氏は、11月に投開票を控える知事選で、4選を目指している。最近の世論調査では民主党候補との接戦が示されている。データセンター問題も選挙戦の争点の1つとなっている。
アボット氏は21日、テキサス州電気信頼性評議会(ERCOT)が電力網への接続承認を待つデータセンターの監査を終えるまで、新たな許認可を停止するよう州の環境規制当局に指示した。規制当局は12月の監査完了を目指している。
アボット氏は、最近まで州内でのデータセンター建設を積極的に推進していたが、こうした姿勢に対して、共和、民主両党から反発が強まっている。民主党候補のジーナ・ヒノホサ州下院議員は、データセンター問題をアボット氏への主要な批判材料に据えている。
同州ヒューストンのライス大学で政治学を教えるマーク・ジョーンズ教授は「アボット氏は他の問題で攻勢をかけるどころか、データセンター問題で守勢に回らざるを得なくなっている」と指摘する。
テキサス・サザン大学の世論調査では、アボット氏の支持率は49%、ヒノホサ氏は45%だった。アボット氏は過去の選挙では民主党候補に2桁の差をつけて勝利してきたが、今回はその差が縮まっている。一方、先週のReconMRとシエナ大学の調査では、ヒノホサ氏がアボット氏を小幅に上回った。
とはいえ、アボット氏はテキサス州で圧倒的な知名度を誇り、州内の共和党支持者から幅広い支持を得ている。一方、ヒノホサ氏はつい最近までほぼ無名の州議会議員だった。
選挙資金でもアボット氏が大きく上回る。手元の選挙資金は6700万ドル(約106億円)で、ヒノホサ氏が直近に報告した約300万ドルの20倍を超える。
全米最大のデータセンター市場であるバージニア州に、テキサス州は迫っている。そのため、州の電力網への接続申請も殺到している。アボット氏は当初、データセンターの州内進出を歓迎していたが、8月、電力網への接続を申請している全プロジェクトの監査を命じた。電力網の信頼性や州の天然資源を脅かさないことを確認するためだ。
アボット氏は、データセンター事業者は住民の電気料金を引き下げ、地域社会で使う水を確保し、必要な電力インフラの費用は自ら負担しなければならないとの考えを示している。環境関連の許認可停止を発表した際に、同氏は「要するに、テキサス州民を最優先しなければならないということだ」と語った。
アボット氏はまた、来年の州議会で、データセンター向けの財政優遇措置の撤廃に取り組む方針を示している。昨年には、電力網の運営者から指示があった場合、データセンターに電力使用量の削減を義務付ける全米初の州となった。
テキサス州の電力網は2021年2月、米国史上でも特に深刻な大規模停電に見舞われた。だが、今年の夏は太陽光発電や蓄電池に支えられ、電力需要が過去最高を何度も更新する中でも安定した運用を続けた。一方、巨大なAI施設の急増は、今後の電力網の信頼性を脅かす大きな要因の1つとなっている。州政府もデータセンターによる電力需要の急増が電力網の信頼性や安定性を損なう恐れがあるとしている。
ERCOTには7月28日時点で、大量の電力を使う事業者から合計498ギガワットの接続申請が寄せられている。その中心はデータセンターだ。498ギガワットは標準的な規模の原子炉498基分に相当し、テキサス州の過去最大のピーク電力需要の5倍を超える規模となる。
原題:Abbott Pauses Data Center Permits as Polls Tighten in Texas Race(抜粋)
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