(ブルームバーグ):メルツ独首相率いる保守系政党、キリスト教民主同盟(CDU)は、20日のメクレンブルク・フォアポンメルン州議会選挙で過去最低の得票率となった。出口調査によると、バルト海に面する北東部の同州では支持率が1桁に落ち込み、ベルリン特別市(州と同格)の議会選では極左・左派党の後塵を拝した。
公共放送ARDの出口調査によると、メクレンブルク・フォアポンメルン州議会選挙で、CDUの得票率は5.5%となり、州議会入りに必要な5%の最低ラインに迫った。極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」は支持を2倍以上に伸ばして37%、長年にわたり同州で優勢だった社会民主党(SPD)は35.5%を獲得した。
メルツ首相は出口調査の発表直後、ベルリンで記者団に「取り繕うことはできない。惨敗だった」と述べ、CDU党首および首相として改革路線を継続する考えを示した。メルツ氏はCDU幹部を党本部に招集し、自身の指導力に対する支持を見極める考えだった。
メルツ氏率いるCDUは、6日投開票の東部ザクセン・アンハルト州での議会選挙でも、反移民を掲げるAfDに大敗している。同州では、第2次世界大戦後のドイツで初となる極右政権が誕生する可能性がある。
ベルリン議会選では、2023年から州政を担ってきたメルツ氏のCDUが、反資本主義を掲げる左派党を下回った。ARDの出口調査によると、大手住宅会社の収用を主張する左派党の得票率は24.5%、CDUは20%だった。
ザクセン・アンハルト州でのAfD勝利はドイツ政界に動揺を広げ、首相就任からわずか16カ月でメルツ氏の退陣を求める声が党内で強まっている。世論調査では、メルツ氏個人の支持率は戦後の歴代首相で最低となっている。
CDU所属の州首相8人は今週、メルツ氏を支持するとの声明を出し、党内対立の沈静化を図った。ただ、メルツ氏の求心力回復に十分だったかどうかを巡る疑念は残っている。
メルツ首相は、ザクセン・アンハルト州での惨敗後に「諦めるという選択肢はない」と表明しており、政権にとどまる決意を崩していない。年金、医療、所得税制度の改革をやり遂げる考えを強調している。一連の逆風にもかかわらず、メルツ氏は今もドイツを救う使命を担っていると自負していると、同氏の考えを知る関係者が明らかにした。
ただ、党内にはメルツ氏が党を率い続ければ、さらなる悪影響をもたらすだけだとの見方が多い。党幹部の多くは、今回の政治局面を乗り切って政権にとどまるかどうかにかかわらず、メルツ氏の退陣はそう遠くないとみている。
メクレンブルク・フォアポンメルン州議会選は、AfD支持の広がりを改めて示した。同党は移民の国外退去やウクライナへの軍事支援反対を訴えるとともに、既成政治への批判を展開している。それでも、単独で州政を担うのに必要な過半数には遠く及ばない。これに対しザクセン・アンハルト州では、AfDが来月、州首相を選出できるだけの議席確保を目指している。
ベルリン議会選で、左派党は生活費負担の軽減を掲げ、大手不動産会社が保有する住宅の公有化を公約している。同党の候補エリフ・エラルプ氏は政治難民の娘で、就任すればトルコ系初のベルリン市長となる。
東ドイツの共産党に源流の一部を持つ左派党に敗れれば、メルツ首相にとってさらなる打撃となる。ただ、複数政党が競り合っており、CDUが市政を引き続き主導できるのか、左派党が緑の党やSPDと連立を組むのかは、現時点では不透明だ。
原題:Merz Party Has Worst State Result in Postwar German History (1)(抜粋)
--取材協力:Kamil Kowalcze.
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