かつてバリアズニー・アセット・マネジメントでトレーダーを務め、現在はロンドンでブティック型ヘッジファンドを運営するズルフィカール・アリ氏は、勢力を増す「スーパーエルニーニョ」の市場への影響を先読みすることで、リターンを拡大できるとみている。

スーパーエルニーニョは、すでに世界の気象パターンを変えつつある。エネルギー商品を取引するZAMSアセット・マネジメントの創業者兼最高投資責任者(CIO)のアリ氏は、エルニーニョが「ますます強まる」中、同ファンドは「市場が混乱した際、迅速に対応してその機会を捉えられる態勢にある」と語った。

年末にかけてエルニーニョが「異例なほどアルファ(超過収益)を得やすい環境」を生み、さらなる機会が出てくる可能性が高いという。この戦略でZAMSの顧客向けリターンは8月に5.7%、年初来で13%となった。

ケンブリッジ大学で数学を学んだ34歳のアリ氏によると、トレーダーやクオンツ、気象ストラテジストら6人ほどのチームで、通常とは異なる値動きを探るためエネルギー先物と気象モデルを分析している。

アリ氏は「われわれは常に相場見通しを出発点とし、気象シグナルと組み合わせている」と語った。ZAMSの収益の約80%は電力先物から得ており、今年から2027年初めにかけて「エルニーニョが主要な材料になる」と同氏はみている。

顧客資金約3億5000万ドル(約546億円)を運用する同ファンドは、常時25-30程度のポジションを持ち、平均保有期間はわずか8日。夏に気温が急上昇して河川が干上がり、フランスの原子力発電所に支障が生じた際も、エネルギー価格への影響を先回りできたという。

ただ、エルニーニョを巡る戦略はリスクが高く、天候の見通しが外れれば取引がたちまち裏目に出る可能性があると認める。今年に入り、ZAMSはフランスとドイツの電力5月限を売り持ちにしていたが、風がやんで供給が減少し、卸売価格が急騰。今年最悪の月間成績となった。

それでもアリ氏は戦略を見直す考えはない。エルニーニョのサイクルを、同社が無視できない「支配的なマクロテーマ」とみているためだ。

同氏は「こうした好機はめったに訪れない」と話し、「従来型の資産クラス以外にも目を向ける資産配分担当者にとって、年末に向けてこれほど魅力的な投資環境はほとんどなく、冬が始まる前に投資しておく十分な理由がある」と語った。

原題:Ex-Balyasny Trader Bets El Niño Can Juice Hedge Fund Returns (1)

(抜粋)

--取材協力:Nishant Kumar、Joe Wertz、Rachel Morison.

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