ウェルズ・ファーゴのチーフ株式ストラテジスト、オーサン・クォン氏はS&P500種株価指数の年末目標を引き下げた。10年にわたる利益成長局面がいずれ鈍化する一方、テクノロジーセクターを巡るリスクが高まっていると指摘した。

クォン氏は、ここ数週間で予想を引き下げたウォール街でも数少ないストラテジストの1人で、年末目標を7950から7700に下方修正した。新たな目標は14日終値から1%強の上昇を見込む水準となる。テクノロジー株についても慎重姿勢を強め、投資判断を「オーバーウエート」から「イコールウエート」に引き下げた。データセンターへの反発が強まる中、11月の中間選挙が同セクターにとって一段とリスクになりつつあるためだ。

クォン氏は「過去3カ月で、データセンター建設を一時停止する措置は全米で175%増加した。特に最先端AI研究所が安全性を巡る懸念を表明する中、こうした動きは続くと予想している」と記した。AI規制を支持する傾向がある民主党が選挙で全面勝利する可能性が高いことも、こうしたリスクを高めていると指摘した。

クォン氏による目標引き下げに先立ち、ウォール街では引き上げが相次いでいた。バンク・オブ・アメリカとトールバッケン・キャピタル・アドバイザーズはともに14日、S&P500種の年末目標を引き上げた。JPモルガン・チェースとウォール街のベテラン、エド・ヤルデニ氏も8月に目標を引き上げていた。

一方、トランプ政権とAI業界トップの対立により、AIインフラへの投資が実際に利益につながるのかとの懸念が強まり、市場への圧力が一段と高まっている。アンソロピックやOpenAIなどの開発企業は、破局的な事態を防ぐため最先端AIの開発を減速するよう求めている一方、トランプ氏は開発競争で先行することを目指している。

クォン氏は今月、米国株に慎重な見方に転じ、AIを巡る設備投資サイクルが2027年に終盤に入る可能性があると警告した。同氏は半導体株よりソフトウエア株を選好しており、半導体株は7月の安値を再び模索する可能性が高いとみている。

中間選挙の結果はヘルスケアセクターに追い風となる可能性がある。クォン氏は同セクターの投資判断を「イコールウエート」から「オーバーウエート」に引き上げた。民主党が勝利すれば、オバマケア(医療保険制度改革法、ACA)の補助金拡充が復活する可能性が生じ、病院や保険取引所への依存度が高い医療保険会社に恩恵をもたらす可能性がある。

クォン氏は1株当たり利益(EPS)の伸びが予想を上回れば株式相場の上振れ要因になり得る一方、今年の企業利益は景気循環的に高い水準にあると指摘した。

「歴史的にみても特に力強いEPS成長局面の1つだ」と指摘。「10年間のEPS成長率を年率換算すると、2027年までに14%に達する見込みで、これを上回るのは1950年代の第2次世界大戦後の強気相場だけだ」と記した。

来年については、大きなリスクは見込んでいないものの、AI投資の減速によって2028年の企業利益が下振れするリスクがあると警告した。

クォン氏の推計では、株式への資産配分は1969年以来の高水準となる72%に達しているが、同氏の試算に基づけば60%程度が妥当だという。実際の配分と同氏のモデルが示す水準との差は、ハイテクバブル期よりも大きいと述べた。

原題:Wells Fargo’s Kwon Cuts S&P 500 View as AI Worries Mount in Tech(抜粋)

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