中国の製油会社がここ数週間、ロシアやアフリカ、米州の原油を大量に買い付けている。中東産原油の供給減少分を穴埋めするため、極めて高いプレミアムを支払って調達を再拡大している。微妙な需給均衡を保ってきた世界の原油市場が、中国の動きで揺さぶられている。

ペルシャ湾岸で紛争が始まった当初、ホルムズ海峡はほぼ全面的に閉鎖され、原油相場は1バレル=200ドルに達するとの予想も浮上した。こうした中で、中国は需給を左右する重要な存在となった。

世界最大の原油輸入国である中国は、在庫の積み増しを抑え、代わりに備蓄を取り崩した。低調な経済成長や燃料輸出の抑制、電気自動車(EV)の普及といった長期的な変化も加わり、原油輸入は急減した。深刻な需給逼迫(ひっぱく)に直面する他の主要消費国にとって、中国が緩衝材役を果たしてきた。

しかし、北海ブレント原油は現在、7月以降で初めて1バレル=100ドルを上回り、騰勢を強めている。エネルギーインフラへの脅威や紛争の拡大が背景にある。

こうした中、中国では高い精製マージンを生かそうと石油製品の輸出が増え始めており、製油会社は高値を払ってでも原油を調達しようとしている。

アナリストやトレーダー、海運企業によれば、世界の原油市場安定に寄与してきた「中国効果」は完全になくなるわけではないかもしれないが、その効果は薄れ始めている可能性がある。

INGグループのコモディティー戦略責任者、ウォーレン・パターソン氏は「中国は依然としてかなりの量の在庫を抱えており、原油輸入量を低水準に抑え続ける余力はある。ただ、そうした柔軟性は時間の経過とともに失われていく」と指摘した。

さらに、「供給が正常化する兆しが当面ほとんど見えない」ことから、中国政府や大手製油会社は備蓄の取り崩しに一段と慎重になる可能性もあると述べた。

イラン戦争開始後の数カ月間、中国の原油輸入の落ち込みは際立っていた。中国税関総署によると、第2四半期の原油輸入量は月平均3360万トン、日量換算で約800万バレルとなった。2025年は日量平均1160万バレルだった。

しかし、6月以降は輸入量が少しずつ増えている。第4四半期には回復が進み、在庫の積み増しも再開する可能性がある。そうなれば、原油価格への上昇圧力が強まりかねない。8月の輸入量は日量900万バレルをわずかに下回る程度だった。

コロンビア大学グローバル・エネルギー政策センターの上級リサーチスカラー、エリカ・ダウンズ氏は、原油輸入の回復は今後さらに勢いを増すと予想。中国は価格が自らに有利な局面で貯蔵施設の在庫を補充する必要性を検討し始めるほか、高い精製マージンを生かして燃料輸出を増やす選択肢もあるためだとしている。

同氏は「中国の原油輸入が戦争前の水準に戻るかどうかが最大の焦点だ」と指摘。「その答えは、ガソリン価格の上昇に対応して中国の消費者が取った行動の変化、とりわけ電動化された交通手段の利用拡大が定着するかどうかにも左右される」と述べた。

中国政府の判断を左右する要因の一つが、世界的な原油供給不足だ。このため、国内需要が急増しているわけではないにもかかわらず、中国向けのスポット原油には現在、既に高値圏にある北海ブレントに対して大幅なプレミアムが乗っている。

ライスタッド・エナジーの石油市場担当バイスプレジデント、リン・イェ氏は、こうした動きについて「中国の原油需要が構造的に大きく増えているというよりも、供給減に備えた代替調達のための買い」であることを示していると指摘した。現在の価格水準では、本格的な在庫積み増しは依然として見込みにくいとも述べた。

資金力のある国有製油会社や、多くの大手独立系製油会社は、割高な価格を支払って原油を確保できている。

トレーダーによると、山東東明石化集団と盛虹集団はここ数日、アブダビ産ダス原油を購入。中国への輸送費込みベースで、北海ブレントを1バレル当たり20ドル以上上回るプレミアムで合意した。

原題:China’s Hunt for Barrels Threatens Oil Market Balancing Act (1)(抜粋)

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