世界的なAI企業の経営トップからAI開発の減速を求める声が相次ぎ、週明け14日の株式市場では半導体メーカーやサプライチェーン関連など、AI関連株の重しとなる可能性がある。ただ、市場関係者は堅調な投資需要を背景に、長期的な影響は限定的とみている。

米アンソロピックのダリオ・アモデイ最高経営責任者(CEO)は12日、AIが人類に「深刻な」リスクを及ぼすとの懸念を示し、AI業界は新たなモデルの開発ペースを落とす必要があると訴えた。安全対策に十分な時間をかける考えを示した。

OpenAIのサム・アルトマンCEOや、xAIを率いるイーロン・マスク氏もアモデイ氏の訴えに賛同。アルトマン氏は安全性確保に集中するためOpenAIの年内上場を見送る方向だと、米経済誌フォーチュンのインタビューで明らかにした。

オールスプリング・グローバル・インベストメンツのポートフォリオマネジャー、ゲーリー・タン氏は「短期的な圧力にはなり得るが、長期的なAIトレードを頓挫させる可能性は低い」と話す。技術が急速に進化する中、他のAI開発者が「現在の序列を受け入れ、開発ペースを落とすことに同意するかは分からない」と指摘した。

背景には、AIを巡る開発競争がすでに世界的な規模に拡大していることがある。シンガポールのマルチファミリーオフィス、リード・キャピタルのジェラルド・ガン最高投資責任者(CIO)も、AI開発が巨大産業となりつつあるだけに、新規参入組、既存プレーヤーともに現在の開発ペースを維持することになりそうだと話す。

AIへの巨額投資に見合う利益を企業が上げられるのかとの懸念が、割高なAI関連株の重しとなっている。ナスダック100指数や米半導体株指数は6月に最高値を付けた後は下落し、S&P500種株価指数をアンダーパフォームしている。

T&Dアセットマネジメントの浪岡宏チーフ・ストラテジストは、AI関連企業トップの発言は短期的な逆風となる可能性があるものの、半導体などの需給逼迫は続いており、影響は限定的と分析。売り圧力を受けやすい銘柄群として、これまで上昇してきた電線株などを挙げた。

JPモルガン・アセット・マネジメントのグローバル市場ストラテジスト、ケリー・クレイグ氏(メルボルン在勤)は、AI開発を遅らせる動きが設備投資計画の縮小やモデル公開の遅れにつながらない限り、バリュエーションや利益見通しではなく、「センチメントを動かす材料にとどまる可能性が高い」と述べた。

(第1段落に半導体メーカーやサプライチェーンなどの言葉を追加して更新します)

--取材協力:横山恵利香.

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