(ブルームバーグ):主要新興国で構成するBRICS首脳会議に出席するため、インドを訪れたイランのペゼシュキアン大統領が現地で演説し、強硬な姿勢を示した。BRICS内では、加盟国間の深い亀裂も浮き彫りになっている。
アジアン・ニュース・インターナショナル(ANI)によると、ペゼシュキアン氏はニューデリーで宗教界の指導者や経済界の幹部らを前に、イラン国民は降伏しないと述べた。また、イランは米国とイスラエルの双方に同時に対抗することに成功しているとも語った。
ペゼシュキアン氏は、主要新興国からの支持を強化する狙いでインドを訪れており、中国の習近平国家主席も首脳会議に出席する見通しだ。米国による厳しい制裁を受け、半年余りにわたり攻撃にさらされているイランは、BRICSを米主導の経済・政治秩序に対抗する勢力と位置付けることに最も積極的な加盟国の一つだ。
だが、他の加盟国、特にアラブ首長国連邦(UAE)との緊張が高まっており、ニューデリーでの首脳会議で共通の立場を打ち出す取り組みは難航している。
中東各地ではここ数週間、戦闘が激化している。米国はイランによる米海軍艦艇へのミサイル攻撃に対抗し、ここ数日、イランの石油タンカーへの攻撃を強化した。
一方、イエメンでは親イラン武装組織フーシ派とサウジアラビアが支援する部隊との衝突も激しさを増している。
ペゼシュキアン大統領は週末の首脳会議に先立ち、11日にインドのモディ首相と会談した。
インド外務省の声明によると、両首脳はイラン戦争について協議した。モディ氏は対話を通じて解決すべきだとするインドの立場を改めて表明するとともに、地域の平和、航行と通商の自由、船員の安全を守る必要性を強調した。
2024年にイランと共にBRICSに加盟したUAEは、戦争中にイランによるミサイルやドローンの攻撃を繰り返し受け、エネルギーインフラや空港が被害を受けた。UAEは8月、長年の貿易相手国であるイランとの経済関係を断絶して対抗した。
こうした緊張は5月のBRICS外相会合でも表面化。イランはUAEと対立し、米国とイスラエルによる共同攻撃を非難するようBRICSに求めた。この対立が行き詰まりの一因となり、BRICSは共同声明で合意できなかった。
事情に詳しい複数の関係者によると、首脳会議を控え、中東での戦争を巡る共同声明の文言について意見の相違が残っているものの、建設的な協議を経て隔たりは縮まっている。この問題について公に話す権限がないとして関係者が匿名を条件に語った。保健、教育、文化、テクノロジーなど幅広い分野でも協議が進展しているという。
インド外務省はコメント要請に直ちに応じなかった。
イランは今週末の首脳会議で、ドル以外の通貨を使った貿易を拡大し、外交関係を強化することで、米国による経済的圧力の強まりに対抗しようとしている。米国はイランのペルシャ湾岸の港を封鎖し、原油輸出を大幅に制限しているほか、他国に対してもイランとの貿易関係をさらに縮小するよう圧力をかけている。
こうした締め付けは、ガソリンなどの物資不足や80%を超えるインフレ、自国通貨が繰り返し最安値を更新する状況の一因となっている。
ペゼシュキアン氏はテヘラン出発前、国営テレビで「BRICSでのわれわれの目標は、米国の一国主義に対抗することだ」と指摘。「BRICSの新開発銀行への投資は、ドルに依存せず共同で行う」と述べた。
イラン大統領のインド訪問は8年余りで初めてとなる。両国は長年にわたり良好な関係を維持してきたが、2月に始まったイラン戦争により、エネルギー面のつながりや、インドが長年にわたりホルムズ海峡を通じて確保してきた供給にも支障が生じている。
モディ氏は8月、キルギスで開かれた上海協力機構(SCO)首脳会議に合わせたペゼシュキアン氏との会談で、インドとイランは貿易関係の多角化を目指していると発言。ただ、1年以上にわたる関税を巡る緊張で悪化した米国との関係修復をインドが進めていることから、こうした取り組みが難しくなる可能性もある。
BRICS内でイラン側につく可能性が最も高いのは、友好国の中国とロシアだ。BRICSで群を抜く経済大国である中国は、イラン産原油を大量に購入し、同国経済の生命線となっている。一方、ロシアは引き続きイランにとって重要な安全保障上のパートナーだ。
原題:Iran Takes Defiant Stance as US War Deepens Its Isolation(抜粋)
--取材協力:Patrick Sykes、Simone Iglesias、ジェームズ・メーガ.もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
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