(ブルームバーグ):日本銀行による利上げペースが加速するとの見方が市場で広がる中、すべての日銀ウオッチャーが今月の金融政策決定会合で政策金利を引き上げ、約6割が来年1月に追加利上げを行うとみている。
ブルームバーグがエコノミスト52人を対象に4-10日に行った調査によると、17、18日の次回会合で政策金利を1.0%程度から1.25%程度に引き上げると全員が予想した。その次の利上げは58%が来年1月を、35%が今年12月を見込んでいる。10月会合でも連続で利上げするとの見方はなかった。
調査リポート:日銀9月会合は全員が利上げを予想-ペース加速
ニッセイ基礎研究所の上野剛志主席エコノミストは、9月会合での利上げを「ほぼ既定路線」とみる。先行きの利上げペースや景気を刺激も抑制もしない中立金利までの距離感をポイントに挙げ、「これらに関して植田和男総裁がどのように発言するかが注目だ」という。
複数の関係者によると、日銀は今月会合で政策金利を0.25ポイント引き上げ、1.25%とする公算だ。中東情勢やAI関連需要、これまでの円安進行などで物価の上振れリスクが引き続き意識される中、先行きの利上げペースも柔軟に対応する。
今後の利上げペースに関する問いでは、四半期に1回程度との回答が46%で最多となり、次いで4ー5カ月に1回程度が36%となった。7月会合前に実施した前回調査では、半年に1回程度との見方が82%を占めており、急速に短縮が進んだ。
背景には、植田総裁が7月会合後の会見で利上げペース加速の可能性に言及したことがあるが、いわゆる「外圧」を挙げる声も少なくない。7月会合の直後に日米の通貨当局が協調して円買いの為替市場介入に踏み切って以降、ベッセント米財務長官による日銀の利上げに期待感を示す発言が続いているためだ。
シティグループ証券の中村颯介エコノミストは、協調介入を経て日米当局の円安けん制は新たな局面に入ったとし、来年末までに日銀は2%まで利上げするとみている。米連邦準備制度理事会(FRB)が利上げサイクルに入る場合は、日銀の政策金利の最高到達点(ターミナルレート)も「2%を超える可能性が高まる」という。
日米の協調介入を受けて、利上げに慎重と見られている高市早苗政権が、日銀の利上げに反対することが難しくなったと思うかとの問いには、82%が「はい」と回答した。
ターミナルレート
エコノミストが見込むターミナルレートと中立金利はともに中央値が1.75%で、前回調査と同水準だった。日銀の政策運営が後手に回っているかとの質問では、45%が「はい」と答えた。前回調査の55%から低下しており、利上げペースの加速観測を背景に、インフレに対し政策対応が遅れるビハインド・ザ・カーブ懸念は足元でやや後退している。
会合では、利上げへの反対票の動向も注目されている。高市政権の指名で審議委員に就任した浅田統一郎氏と佐藤綾野氏の投票行動から金融政策に対する今後の政権の意向を探る向きもある。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券の六車治美チーフ債券ストラテジストは、両氏が利上げに反対した場合は来年の日銀審議委員人事でも「ハト派の人物が任命される可能性が高い」との印象になると指摘。反対が1人であれば、「政府の意向はそこまで強く影響していないとの受け止め」になり、全員賛成なら高市政権の姿勢の変化あるいは米国の影響力の強さが意識されるとみる。
来年7月には利上げに積極的な高田創、田村直樹の2人の審議委員が任期満了となる。審議委員を含む日銀の政策委員人事は、政府が人選し、国会の同意を経て内閣が任命する。
--取材協力:広川高史.
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